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純真なペネロペと妖艶なキャメロンが好対照! 豪華キャスト競演の心理サスペンス『悪の法則』

DF-00190_R.jpg(C) 2013 Twentieth Century Fox Film Corporation

 秋の豊作が続く最新映画の中から、今週はコッテリ系の洋画2本と、アッサリ風味の邦画を取り上げたい。嗜好にベストマッチの一品を堪能するもよし、異なる味わいを比べるのももちろんOKだ。


 『悪の法則』(11月15日公開、R15+)は、巨匠リドリー・スコット監督が豪華キャストで描くサスペンス。ハンサムで有能な弁護士カウンセラー(マイケル・ファスベンダー)は、美しい婚約者ローラ(ペネロペ・クルス)との未来のため、裏社会のビジネスに手を染める。レストランを経営するライナー(ハビエル・バルデム)とその女(キャメロン・ディアス)、ブローカーのウェストリー(ブラッド・ピット)と組んだカウンセラーは、ある誤解からメキシコ人組織に狙われるようになり、周囲にも危険が及んでゆく。

 純真なクルスと妖艶なディアス、セクシュアルな美女2人が好対照。殺しの過程をスタイリッシュかつ緊迫感たっぷりに描く映像センスは、スコット監督の健在ぶりを印象づける。虚飾に満ちたセレブの生活が「悪の法則」に支配され、じわじわと闇の世界に覆われてゆくさまに、ずっしり重い衝撃を受けることだろう。

 『マラヴィータ』(11月15日公開)は、主演ロバート・デ・ニーロ、製作総指揮マーティン・スコセッシ、監督リュック・ベッソンというビッグネームが組んだ痛快エンタテインメント。FBIの証人保護プログラムを適用され、米ニューヨークからフランス・ノルマンディー地方の田舎町に移り住んだブレイク一家。元マフィアの主フレッド(デ・ニーロ)をはじめ、妻マギー(ミシェル・ファイファー)、高校に通う娘と息子の4人は、町に溶け込もうとするものの次々とトラブルを巻き起こす。やがて、フレッドを恨むマフィアのドンが居場所を突き止め、殺し屋集団を送り込んでくる。

 マフィア映画へのオマージュをたっぷり詰めこんだコミカルな快作。フレッドがゲストで招かれた映画上映会で、スコセッシ監督、デ・ニーロ主演の『グッドフェローズ』(90)が上映されるという「遊び」も楽しい。TVシリーズ『glee』のチアリーダー役で一躍有名になったディアナ・アグロン、ブレイク家を監視するFBI捜査官役のトミー・リー・ジョーンズも、それぞれいい味を出している。イタリア系マフィアを描きアメリカで確立したマフィア映画というジャンルに、フレンチのセンスを添えて仕上げた逸品をご賞味あれ。

 『四十九日のレシピ』(公開中)は、伊吹有喜のロングセラー小説を『百万円と苦虫女』のタナダユキ監督が映画化した感動ドラマ。妻の乙美を亡くし生きる気力を失っていた良平(石橋蓮司)のもとに、夫の不倫で離婚を決意した娘・百合子(永作博美)が戻ってくる。そんな2人のペースを乱すかのように、元風俗嬢のイモ(二階堂ふみ)が登場。イモは更生施設で世話になった乙美から、楽しく飲み食いする「四十九日の大宴会」を頼まれたと言う。初めは却下した百合子だったが、良平が一転乗り気になったことで、母が遺したレシピに向き合い、大宴会の準備に取りかかる。

 故人の一風変わった遺志と、愛情のこもったレシピによって、家族とゆかりの若者らが集い、それぞれの心の傷と折り合いをつけてゆく過程が丁寧に描かれる。抑えた感情の微妙な変化を表現した、永作の演技が味わい深い。滋味が伝わってきそうな料理、せせらぎの音を強調した川など、繊細に構成された映像に癒される。生と死、再生の意味を優しく問いかけてくる作品だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『悪の法則』作品情報
<http://eiga.com/movie/78963/>

『マラヴィータ』作品情報
<http://eiga.com/movie/78589/>

『四十九日のレシピ』作品情報
<http://eiga.com/movie/77745/>

最終更新:2013/11/15 18:54
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