「コーヒーを押すと、ミルクティーが出てきた」10年ぶり復活のボキャ天芸人・松本ハウスが語る“統合失調症”のリアル
#お笑い #インタビュー
お笑いコンビ・松本ハウスを覚えているだろうか? ちょっと正気とは思えないクレイジーなパフォーマンスを繰り出すハウス加賀谷と、それに冷静に突っ込む松本キック。1990年代に『タモリのボキャブラ天国』(フジテレビ系)でブレイクし、一時はかなり頻繁にテレビなどに登場していたのだが、ある時期を境にパッタリと表舞台から消えてしまった。
実はハウス加賀谷はコンビ結成以前から統合失調症を患っており、症状の悪化によって1999年、松本ハウスは活動休止に追い込まれていたのだ。
それから約10年の休止期間を経て、2009年よりコンビを復活して活動を再開しているが、このたび、加賀谷の統合失調症体験について綴った著書『統合失調症がやってきた』(イースト・プレス)が発売された。「統合失調症」って名前は聞くけど、実際どんな病気なのか? そして、お笑い芸人が病気を語る理由とは!?
■病気のエピソードも、ネタにしちゃえばいいじゃないか
――キックさんは、コンビを組む段階では加賀谷さんが病気だということは知らなかったんですよね。
松本キック(以下、キック) そうですね。とはいえ、初めて事務所で会った時から、明らかに挙動不審でしたけど。
――そんな挙動不審な人と、どうしてコンビを組もうと思ったんですか?
キック おかしなヤツだな~……とは思いましたが、とにかく目立ってましたから。それに事務所の同期が3人だけだったんですけど、僕と加賀谷が漫才志望で、あとのひとりはコント志望だったんですよ。だから必然的に相方は加賀谷しかいないと。
ハウス加賀谷(以下、加賀谷) キックさんから誘われて、ボクは即オッケーしました!
キック 「ちゃんと考えてんのかコイツ?」というくらい即答でしたね。ただ、コンビを組んだのはいいけど、コイツがやたらと遅刻をしてくるんですよ。「事務所で新しいネタを作ろう」と待ち合わせしてても来ない。当時は携帯がなかったんで、家に電話をしたら「すいません、寝てましたー」って。それから1時間待っても来ないから、また電話したら「寝てましたー」。さらに1時間待っても、やっぱり来ない。で、「寝てましたー。……今日、行かなきゃダメですかねぇ?」ですよ。「もうふざけんな!」ってブチ切れて。
加賀谷 あの時は、ホントに寝てたんですよ。朝の薬を飲もうと思ったら、間違えて夜寝るための薬を飲んじゃって、そのままコテッて……。
キック いくら面白くても、そういうところがちゃんとしてないヤツとはコンビ組んでいけないなと思っていたんですけど、その後、「実は統合失調症を患っていて、中学の頃から幻聴が聞こえていた。高校では幻覚が見えて、グループホームを経て、なぜかお笑いの道に走った」という経緯を知って……そういうことだったのかと。
――統合失調症だからコンビを組むのはやめよう、ということにはならなかった?
キック 加賀谷という面白い人間が、たまたま精神疾患を持っていたというだけですからね。話を聞くと病気のエピソードも面白いし、それもネタにしちゃえばいいじゃないかと。とにかく漫才をやりたかったんで、「しょうがない、面倒見るしかないか」っていう感じで、特に抵抗はなかったですね。
――当時から加賀谷さんのギリギリなキャラは話題になっていましたが、どこまでがガチで、どこからがキャラだったんですか?
加賀谷 ボクらエンターテイナーなんで、まあエンターテインメントですよ。
――……???
キック 全部キャラを作ってたってこと?
加賀谷 だからそのー……あのぉー……。
キック 最初から「リハビリ漫才だ」って言ってましたし、精神疾患を持っている“加賀谷”という人間がキャラクターの一部になっていたことは間違いないですね。
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