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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.233

マッチョ信仰を過激に凌駕する“人体改造”願望! 香港カンフーリミックス『アイアン・フィスト』

ironfist01.jpg山田風太郎ばりの異能戦士たちが次々と死闘を繰り広げる『アイアン・フィスト』。人気アクション監督コリー・ユンが参加しているのもポイント。

 あらゆる女性がより美しくなりたいと願うように、すべての男性はより強くなりたいと願っている。女性が脚を細くすることに懸命なように、男性は胸板を厚くし、腹筋がくっきり分かれるよう涙ぐましい努力を重ねる。女性が美容整形を肯定するように、男性は筋肉増強剤もありだなと考える。ユニバーサル映画『アイアン・フィスト』はカンフー映画にオマージュを捧げるのと同時に、男性が抱くマッチョ信仰を遥かに凌駕する「最強のボディを手に入れたい」「そのためなら人体改造も辞さない」という過剰な肉体願望を具象化したものだ。

 タランティーノ・プレゼンツと銘打たれた『アイアン・フィスト』は、『キル・ビル』(03)や『ジャンゴ 繋がれざる者』(8月7日DVDリリース)の音楽を担当したRZAの初監督&主演作。ヒップホップ界の人気グループ「ウータン・クラン」のリーダーを務めるRZAだが、香港映画『少林寺三十六房』(78)や日本アニメ『北斗の拳』が大好きなことで知られる。カンフーアクションが好きで好きで、楽曲提供だけでは我慢できずに、最強の戦士たちが鍛え抜かれた肉体をぶつけ合う格闘世界をみずから創り出してしまった。

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