今度はカスタム戦車が公道を爆走!!! シリーズ通算6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』
#映画
今週紹介する新作映画は、超絶カーアクションと大胆な強奪ミッションが売りの人気シリーズ最新作と、権威へ服従してしまう人間の心理を描くサスペンス。どちらも先の読めない展開に思わず引き込まれ、本格化する夏の暑さをしばし忘れさせてくれるかも!?
7月6日公開の『ワイルド・スピード EURO MISSION』は、2001年に好スタートを切った『ワイルド・スピード』シリーズの通算第6作。逃亡先の南洋の地で穏やかに暮らしていた強盗団の元リーダー、ドミニクの前に、FBI特別捜査官ホブスが現れ、高度な運転技術を駆使して犯罪を繰り返す元エリート軍人ショウと一味の逮捕に協力するよう要請する。ドミニクは、死んだはずの元恋人レティがショウに加担していると聞き、相棒のブライアンら仲間のドライバーたちを招集。ホブスの依頼を引き受け、ショウ一味を追跡するが……。
作品を重ねるごとにアクションがスケールアップする本シリーズ。スポーツカー同士のチェイスではもはや物足りないと言わんばかりに、今作では公道を高速走行するカスタム戦車、強固なパイプと鉄板で装甲したF1カー似のデザインで進路上の車をはね飛ばす特製の「フリップ・カー」、さらにはロシア製大型輸送機など、インパクト大な特殊ビークルとのスピード感あふれるスリリングな攻防が繰り広げられる。前作は追われる側と追う側だったドミニク役ヴィン・ディーゼルとホブス役ドウェイン・ジョンソンというマッチョな2人が今回は手を組み、女性総合格闘技出身で『エージェント・マロリー』(12)主演のジーナ・カラーノとシリーズ復帰組のレティ役ミシェル・ロドリゲスによる熱いキャットファイトなど、ごつい肉弾戦もたっぷり。さらにエンディング後のフッテージで、次作の敵役をほのめかす大物アクションスターのカメオ出演もあり、『ワイルド・スピード』まだまだ止まりそうにない。
もう1本の『コンプライアンス 服従の心理』(公開中、R15+)は、04年に実際に起きた事件を題材にした問題作。米ケンタッキー州のファストフード店で店長を務めるサンドラに、警察官を名乗る男から電話が入る。男は若い女性店員ベッキーに窃盗の疑いがあると言い、サンドラにベッキーの身体検査を命じる。警察官の言うことならばと指示に従ったサンドラだったが、男の要求は次第にエスカレートしていく。
人が善悪の判断を超えて権威に服従してしまうことを実証した有名な「ミルグラム実験」を、実社会で証明したかのような衝撃の事件。上司からの評価を気にする中年女性店長が、不祥事を穏便に済ませようという意識も働き、電話口の男に命じられるままベッキーを全裸にし、衣服を取り上gげ、さらには自分の婚約相手の男に「検査役」を委ねるなど、信じがたい行為に及ぶ一部始終がサスペンスフルに描かれる。日本でも、振り込め詐欺で警察や弁護士を名乗る手口の被害が多数出ているし、会社の上司に命じられるまま組織的な不正に加担してしまう事件も後を絶たないことから、こうした話は誰にとっても決して無縁ではないはず。自分がその場にいたら、本当に正しい判断ができるのか。想像力をはたらかせながら本作を鑑賞することは、いざという時に備えるシミュレーションにもなりそうだ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ワイルド・スピード EURO MISSION』作品情報
<http://eiga.com/movie/77678/>
『コンプライアンス 服従の心理』作品情報
<http://eiga.com/movie/78035/>
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