児童ポルノ法改定問題 過去の取材データから探る、高市早苗衆議院議員の本音
#児童ポルノ #青少年育成条例 #非実在青少年
児童ポルノ改定案が国会に提出され、ようやくさまざまなメディアも注目するようになってきた。筆者も「週刊プレイボーイ」(6月3日発売号/集英社)、「出版ニュース」(6月10日発売号/出版ニュース社)で、この問題に関する記事を執筆している(宣伝)。
前者のほうでも記しているが、今回、法案提出の中心人物である自民党政調会長の高市早苗衆議院議員は、多忙のため取材に応じることはできないという。その上で、高市議員は2008年当時と、意見は変わっていないという。
そこで今回は、08年当時の高市議員の意見を示す資料を掲載することにする。これは、筆者の送付した質問に高市議員が文書にて回答したものである。今後の議論の上で、多くの人々に役立ててもらいたい。
問1:「児童ポルノ」の定義についてどのようにお考えですか?
【回答】
現行法(平成11年「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」)の第二条3項の定義通り。
第二条3項;「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。[1]児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態、[2]他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、[3]衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
問2:「児童ポルノ」の単純所持禁止について賛成ですか、反対ですか? また、その理由についてお聞かせください。
【回答】
「児童ポルノ単純所持禁止」に賛成
理由[1];個人の性的好奇心を満たす目的による児童ポルノへの「需要」に歯止めをかけない限り、「供給」の根絶は困難であること。
理由[2];単純所持を禁止することで、過去に取得した児童ポルノも廃棄されることになる。児童ポルノの被写体になった被害者の生涯に渡る苦悩(第三者が画像を持ち続けることへの苦痛や拡散への不安)を考えると、規制はやむを得ないと考える。
理由[3];現行法では、平成16年に「附則」として、法律の施行状況や国際的動向を勘案して「施行後3年を目途として」と見直し規定が入っている。ロシアを除くG8諸国では単純所持を禁止する法制度が整備されており、韓国も最近禁止した。
理由[4];内閣府世論調査でも単純所持禁止を求める世論が圧倒的である。
問3:「児童ポルノ」の単純所持禁止により、冤罪が発生する可能性や、スキャンダルや陰謀に利用される可能性が指摘されていますが、その点についてはどのようにお考えになりますか?
【回答】
現在、与党PT(プロジェクトチーム)で検討中の改正案では、本人の意図しない所持(送りつけ等)については罪にならないように、条文の文言に十分な配慮を行っている。
問4:共謀罪などと同じく、警察権力の悪用が起こる可能性も指摘されています。その点についてはどのようにお考えになりますか?
【回答】
そもそも「共謀罪」については警察権力の悪用が目的だとは考えていないが、児童ポルノ禁止法改正の目的も警察権力の悪用ではなく、主に被害者救済である。
問5:漫画・アニメ等の創作物を児童ポルノ法で取り締まるべきという主張をどう受け止められていますか?
【回答】
個人的には、児童ポルノ法での取り締まりは困難だと考えている。理由は、現行の児童ポルノ法では児童の定義を「18歳未満」としており(児童虐待防止法や児童福祉法などと同様)、実在する児童を対象としたものではない漫画やアニメでは、年齢要件を判定できないから。
カナダ、フランス、イタリア、ドイツなど、「実在しない児童をモデルとするもの」についても法規制の対象としている国があることも承知しているし、「漫画やアニメも、児童ポルノを愛好する風潮を助長するものである」とのご意見が多いのも承知しているが、現在の児童ポルノ法が実現しようとしている法益や諸定義から見ると、一部改正ではとても対応できない課題である。
与党PTでは、今後、政府が調査研究する課題として附則に書き込む案が出ている。
問6:改正に向けて拙速な議論が続いており、実際の児童保護の問題が疎かになっているのでは? という批判については、どうお考えでしょうか?
【回答】
「単純所持禁止」については、自民党では1998年、1999年、2003年、2004年と、数次に渡って国会提出に挑戦しており、拙速な議論ではないと思う。主目的は児童保護である。
問7:改正が急がれる理由として「サミットに間に合わせたい」「今後の衆院解散総選挙を睨んだ選挙民へのアピール」があるという声も聞かれますが、どうお考えですか?
【回答】
政調会長に法改正検討の必要性を申し出た一人でもあるが、個人的にはサミットの時期や選挙については考えたこともなかった(むしろ作業を始めてからは嫌がらせの方が多いので、票になるとも思えない)。昨夏まで青少年施策の担当大臣でもあったことから児童が巻き込まれる性的犯罪等に強い問題意識を持っていたが、本法は議員立法案件なので、閣僚の仕事が終わったら取り組んでみたいと考えていた。
問8:一部の議員から「私が不快だから取り締まるべき」との発言もありますが、こうした発言についてはどうお考えでしょうか?
【回答】
自民党の小委員会メンバーや与党PTのメンバーは、個人的な感情ではなく、公益を考えて取り組んでいると思う。
問9:与党PTが単純所持規制の方針を打ち出した際に高市先生は「これは第一弾」と発言されていらっしゃいましたが、第二弾は、高市先生の考えられている有害図書規制を国で行うための新立法と考えてよいでしょうか?
【回答】
そういう意味での発言ではない。今回の法改正内容は「単純所持の禁止」に限定されるだろうが、児童ポルノ禁止法について自民党の小委員会メンバーや公明党から出たご意見(擬似児童ポルノやアニメ等への対処)については、今回の法改正では入れられないだろうという見通しを語ったもの(つまり、将来に向けての調査研究課題とせざるを得ない)だった。
いわゆる有害図書を規制する法案は提出予定無し。
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