アジア移住人気のワケ 起業や節税、高水準な教育求める母子留学、親の介護も安価…
サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。
■「Business Journal」人気記事(一部抜粋)
新橋のビジネスマン133人が選ぶ、一足早い“勝手に”AKB総選挙結果…主力陣苦戦
地下化された下北沢駅周辺の跡地用途は白紙?公園?小田急電鉄に直撃!
岡村隆史、“妹分”矢口真里の離婚に「マジでか…という噂も耳に。謝罪の必要ない」
■特にオススメ記事はこちら!
アジア移住人気のワケ 起業や節税、高水準な教育求める母子留学、親の介護も安価… – Business Journal(6月1日)
東南アジアに移住する日本人が増えている。国力低下につながる、富裕層や優秀な人材の流出は、なぜ起こっているのか? そして、移住先にはどんな魅力があるのか? 5月に『中国・インドの次に来る大チャンス 新興アジアでお金持ち』(講談社)を上梓した岡村聡氏に解説してもらった。
私は貯金をこれからしていく20代の若者から、資産数十億円以上の超富裕層まで、幅広い年代・資産クラスの方々に資産運用のアドバイスを行う会社を経営しているが、最近、頻繁に多くのお客様から海外移住についての相談を受けるようになってきた。
その中でも、シンガポール、マレーシアを中心とした東南アジアへの関心が非常に高まっている。これまでは、オーストラリアやニュージランドなどのオセアニアも、移住先として日本人の注目を集めてきたが、中国人を中心とした富裕層が殺到したことで、数年間の居住ビザの取得に5000万円以上を、永住権の取得には5億円以上を、両国政府が指定する商品に投資しなければならなくなったため、ほとんどの人には手が出しづらくなった。そこで、地理的にも文化的にも日本と近く、経済的なハードルも他の地域への移住ほど高くない東南アジアが注目されるようになってきた。
東南アジアへの移住に関心を持つ人たちは、大きく4つのパターンに分けられる。1つ目は富裕層や起業家が節税やビジネスのために行う移住で、この目的についてはシンガポールが圧倒的な人気となっている。2つ目は、現役世代がキャリアアップの中で転職することに伴う移住で、これについてもシンガポールが最も人気だ。3つ目は、引退世代が老後の生活費を抑えつつ、かつ充実した生活を送るための移住で、この目的ではマレーシアやタイが中心だ。最後の4つ目は、近年急増してきている母親と小さな子どもによる母子留学だ。母子留学についてはシンガポールが人気だったが、マレーシアも注目を集め始めている。
一般的に“東南アジア”と呼ぶ時に対象となるのは、ASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟している10カ国だが、日本人の移住先としては上記のようにシンガポール、マレーシア、タイの3カ国が中心となる。製造業を中心に進出が進むインドネシアやベトナム、経済が絶好調のフィリピンなどへの関心も高まってきてはいるが、日本人で現地に住む人は駐在員など期間が限定である人がほとんどで、完全に移住する人は少ない。
●手厚い税優遇
富裕層や起業家がシンガポールに移住する最大のポイントは、やはり税金だろう。企業収益にかかってくる法人税は日本が40%程度であるのに対して、シンガポールはわずか17%だ。さらに、シンガポールで創業した法人は、創業3年目まで法人税が10%程度にまで軽減され、大企業もアジア本社をシンガポールに置いた場合は5%程度、グローバル本社を置いた場合は0%まで法人税が優遇されることがあるようだ。
こうした低い税金を求めてグローバル企業の多くはアジア本社をシンガポールに置くようになっており、昨年はP&Gがアジア本社を神戸からシンガポールに移し、三菱商事の金属部門も本社を東京からシンガポールに移したことは、日本でも話題になった。
法人税だけでなく、所得税の最高税率も日本の場合50%(住民税を含めて)で、これが55%まで引き上げられることが検討されているが、シンガポールでは20%と半分以下の水準だ。また、富裕層にとっては、投資収益にかかるキャピタルゲイン課税や相続税がシンガポールにはないことも魅力だろう。
このように、狭い国土で資源にも乏しいシンガポールは、国を挙げて富裕層・起業家を集める優遇策を整えることで、高付加価値人材をグローバルから集め、それがさらに人的ネットワークとなりシンガポールの魅力を高めることになるという好循環に入っている。不動産価格の高騰や、生活費の上昇など負の側面も現れ始めているが、日本人を含めた世界の富裕層・起業家がシンガポールに集まるトレンドはしばらく続くだろう。
2つ目のキャリアアップのためのシンガポール移住が進んでいることも、富裕層・起業家の流入と関係している。ビジネス上の意思決定を行う人物がシンガポールに増えることで、必然的にそれをサポートする人材へのニーズも高まってきている。金融・経営コンサルティング業界の専門的人材や、弁護士、会計士などがそれにあたるが、アジアで最も規模が大きくダイナミックなビジネス上の意思決定がシンガポールで行われるようになってきたことで、上記のような専門的なスキルを持つ人材のシンガポールへの移住も増えてきている。私自身、この夏にはシンガポールに法人を設立する予定だが、日本で資産運用のアドバイスを行っていたお客様が、富裕層を中心にシンガポールに続々と移住していることが、シンガポール進出の背景にある。
●引退世代に人気のマレーシア、タイ
ただ、この富裕層、起業家、専門的な人材の流入により、シンガポールの不動産価格はオーチャードなど人気エリアの高級コンドミニアムであれば、平米単価が500万円(100平米のコンドミニアムで5億円)の物件が出てくるなど高騰しており、多くの人にとって手が出なくなってしまっている。こうした不動産価格、生活費の高騰が、長くシンガポールに住むローカルの不満を増す要因となっているので、国内に税収や雇用を生む起業家以外へのビザの発行を、同国政府も絞り始めている。
そこで、3つ目の引退層の移住先として注目を集めているのがマレーシア、タイだ。特に、マレーシアは日本人の移住先としてここ5年以上一番の人気となるなど、日本の引退層に絶大な人気を誇っている。
マレーシアに移住する際に取得するビザが、MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)だ。タイにも同様の引退層向けのビザはあるが、更新期間は1年と短いのに対して、MM2Hは10年間のビザであることが人気となっている理由だ。金融資産が1000万円以上あって、月額収入が30万円以上あることがMM2H取得の条件となっており、タイのビザよりも取得ハードルは高いが、夫婦の資産や所得を合算できるため、多くの日本人引退層にとって検討範囲内だろう。日本人のMM2Hの取得者数は2010年に200人であったのが、11年に400人、12年に2000人と激増してきている。
●介護施設費用は3分の1
また、本人のみが対象のタイのビザと異なり、MM2Hは本人と配偶者、21歳以下の子どもに加えて、両親も対象となる。介護が必要な人物であっても一緒に移住できるため、最近では引退世代が、介護が必要な両親を連れてマレーシアに移住するケースも増えてきた。マレーシアの首都クアラルンプールを中心として、日本語を話せるスタッフが常駐する介護施設が増えてきており、コストも月額10万円以下と、日本の同等の施設と比較して半分から3分の1程度の費用で済み、非常にリーズナブルだ。介護施設に入る必要がなかったとしても、マレーシアでは住み込みのメイドさんが月額2〜3万円で雇えるため、家事や両親の世話などを手伝ってもらえることも魅力だろう。
最後に4つ目として挙げた東南アジアへの母子留学も増えてきている。上記のようにシンガポールのビザは取得が難しくなっているが、シンガポール内のインターナショナル・スクールに子どもが通っていれば、保護者向けのビザが1つ発行される。これを利用して、幼少期から英語・中国語が学べ、質の高いインターナショナル・スクールが数多く存在するシンガポールに、小さな子どもと母親の2人で移住するケースが増えている。
ただ、前述したようにシンガポールの不動産価格・生活費は高騰してきているため、シンガポールから近い、マレーシアのジョホール・バルに母子留学をするケースも見られ始めた。ジョホール・バルには、英国のマルボロ・カレッジや、米国のカリキュラムに準拠したラッフルズ・アメリカン・スクールなど、世界的な名門校が国策として集められてきており、母子留学先としての魅力を急速に高めている。
このように、日本人の多種多様な人々がシンガポールを中心とした東南アジアに移住する例が増えてきている。筆者自身、初めてシンガポールを訪れてからわずか2年で、シンガポールに法人設立を決意するなど、東南アジアとの関わりを深めてきている。
私が2年という短い期間で東南アジアに進出しようと思った理由や、東南アジアへの移住、さらには東南アジアへの投資や転職、起業などについて幅広く有益情報を整理した書籍『中国・インドの次に来る大チャンス 新興アジアでお金持ち』(講談社)が出版されたので、この記事を通じて東南アジアに関心を持った人は、お手に取っていただけると嬉しい。
●岡村聡(おかむら・さとし)
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。経営コンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、 国内大手PEファンド「アドバンテッジパートナーズ」に勤務後、2010年、株式会社S&S investmentsを立ち上げる。資産運用、海外移住や海外不動産投資などに関するコンサルティングを積極的に行っている。
■おすすめ記事
新橋のビジネスマン133人が選ぶ、一足早い“勝手に”AKB総選挙結果…主力陣苦戦
地下化された下北沢駅周辺の跡地用途は白紙?公園?小田急電鉄に直撃!
岡村隆史、“妹分”矢口真里の離婚に「マジでか…という噂も耳に。謝罪の必要ない」
編集者にマンガの原稿をなくされた赤塚不二夫が発した言葉とは?
なぜ関西、中高一貫校が国公立大に強い?本当に学ぶべき大学・塾は?
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事