若手バンド[Champagne]のMV騒動は「氷山の一角」か 日本音楽界にはびこる“パクリ体質”
若手ロックバンド[Champagne](シャンペイン)のミュージックビデオが「パクリではないか」とネット上で騒ぎとなり、所属事務所とメンバーが公式サイトで謝罪する事態へと発展した。問題となったのは、同バンドの4月3日リリースの新曲「Forever Young」のミュージックビデオ。同作品がYouTubeにアップされたところ、オーストラリアのバンドClubfeetの「Everything You Wanted」という曲のミュージックビデオを制作した関係者が「パクられた」と非難の書き込みを行ったこともあり、瞬く間に“炎上”した。
「両方のビデオを見比べましたが、どんな言い訳も許されないほど完璧なパクリですね(苦笑)。メンバーの静止画像を、歩いている映像にシンクロさせるというアイデアをそのまま借用しているのは、さすがにマズい。元ネタがオーストラリアの無名バンドのビデオということで『見つからないだろう』と考えたのだとしたら、今の時代には考えられないほどの管理の甘さです」(他のレーベル関係者)
もっとも、今回のパクリ問題は「氷山の一角にすぎない」との見方もある。日本の音楽業界では、CDジャケットのデザインやミュージックビデオが、海外の著名作品と類似しているとたびたび指摘されてきた。
「CDジャケットのデザインは“パクリ”なのか“引用”なのか判然としないケースが大変多いですね。たとえばYUKIのジャケットやミュージックビデオは、以前から『ビョークのパクリではないか』との指摘が多くなされてきました。あまりにも堂々と“似ている”ので、業界内では引用ということで通っていますが、元作品の制作者が見たら、いい気はしないでしょう」(同)
これまでにも今回のシャンペインのケースと同様に、「パクリではないか」と指摘されてレコード会社が動いたケースもある。2005年には、前年に発表されたHALCALIのアルバム『音樂ノススメ』のジャケットが、アーティスト会田誠氏の作品に酷似していると指摘され、別のものに差し替えて再リリースされた。しかし今回のように、パクリであることを認めて撤回したケースは見当たらない。
「今回、発売元がパクリを公に認めたことで、今後はミュージックビデオの制作現場で自制の動きが広がるでしょう。とはいってもデザインの打ち合わせをする際に、海外の作品を見ながら『このラインで行きましょう』などと話し合うことは日常茶飯事。今後も広い意味での“パクリ”は減らないんじゃないでしょうか」(デザイン事務所関係者)
歌謡曲全盛の時代より、幾度となく指摘されてきた日本の音楽界のパクリ体質。ネット時代には、瞬時に“ネタ元”にバレるというリスクも生まれている。
(文=市場葵)
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