危険な育毛サロンで毛が抜ける…育毛商材は落とし穴がいっぱい!
サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。
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危険な育毛サロンで毛が抜ける…育毛商材は落とし穴がいっぱい! – Business Journal(3月12日)
(「MSD HP」より)
生化学分野に精通し、サイエンス・コミュニケーターとしても活動するほか、教育機関で教鞭も執っているへるどくたークラレ氏が、薬局で買える医薬品や健康・栄養食品を分析! 配合成分に照らし合わせて、大げさに喧伝されている薬や、本当に使えるものをピックアップする。
さて、前回は薬局薬の育毛剤について話をまとめていたわけですが、やはり本気で取り組むとなると専門医の力が必要です。現代の薄毛治療は一体どの程度進んでいるのでしょうか?
今回は、薬局薬からは少し離れますが、この永遠のテーマについて少し掘り下げてみようと思います。
●病気なのか遺伝なのか……脱毛症の種類を知ろう
まず脱毛症というものが、ストレス性のものであるか、遺伝性のものであるか、ここで話がずいぶんと変わってきます。近年の研究から、どうやら薄毛遺伝子は母方のX染色体由来であることが多いようで、この説において具体的で正確な統計データはないものの、母方の父親が薄毛の場合、8割近くの確率で遺伝するようです。一方、父親から遺伝することは非常に少ないようで、母方のおじいちゃんが薄毛でなければ、ひとまず安心しても大丈夫かもしれません。
それ以外の脱毛は、ストレス性のものや、なんらかの病気、毒物によるものであることがあります。ストレス性の代表的なものが円形脱毛症で、男女共通で発症し、ひどいと頭髪のほとんどが抜け落ちるといった場合もあります。いずれにせよ、不規則な脱毛が起きる場合は、早めに皮膚科医の診断を受けた方がよいと言えます。皮膚科医の診断のあと、精神的な問題であれば心療内科、それ以外の疾病であれば専門病院へと紹介状も書いてもらえるので、恥ずかしがらずに専門医に診てもらうのが大切です。
しかし今回のお題である、「男性型脱毛症」は先にもお話ししたとおり、ほとんどが遺伝性のものです。病気のような扱いを受けていますが、そういった形質なので、気にしなければまったく生活に支障はないのですが、やはりフサフサのほうが良いと考える人は多いわけで、そこで様々な治療法が開発されています。
●ハズレ率激高 行ってはいけない育毛サロン
育毛サロン。テレビなどでも盛んに宣伝していますが、その中身は頭皮のオイルマッサージや、洗浄、LEDによる謎の光刺激に、得体の知れないサプリメントの処方……効果のほどは、オカルト級の処方をご大層にするところが大半です。
それらの費用は安くても数十万円、100~300万円のコースなどもありますが、大半のサロンには医師がいないため、「医療行為」が行えません。当然、使用される機材や薬品は、薬局のものと大差なくなってしまうわけです。
一部、頭皮が不衛生だったり不摂生などから来ている脱毛には効果がありますが、これもまた専門医の指示や処方薬での治療の方が、確実で安全です。
もちろん育毛サロンの中には、専門医を置き、きちんと医療的対応をしてくれるところもあるのですが、結局のところ、ある程度進んでしまった脱毛には医師の処方や、専門病院での高度な施術などが必要なので、早めに専門医のいる病院に行った方が間違いなくハズレがありません。
え? 何? 赤と青の光で毛が生えるブラシがあるらしいって?
ただの300円の電動ブラシに1個30円のLEDが並んでいるだけです。あれで毛が生えたら、むしろノーベル賞ものでしょう(笑)。
●テレビで盛んにCMしてる“アレ”の効果
最近はプロペシアの販売元MSDが、テレビCMなどで「AGA! AGA!」と連呼しているのを見たことがある人も多いでしょう。あれは、薬事法のため、テレビCMでは薬剤名や薬効を宣伝できないので、AGAと単語を連呼するという意味不明なCMになっているわけですが、「飲み薬で脱毛症は治療可能ですので、とりあえずググってください!」……といいたいわけです。
さてプロペシアという飲み薬と、それに入るフィナステリドという成分。
数年前に登場したこの薬は、プラセボとの対照試験で6割以上に効果がみられた薬剤で、毛乳頭細胞内でのジヒドロテストステロン(皮脂腺の受容体と結びつき、過剰な皮脂を分泌させ、毛穴を塞いでしまうため、毛髪の成長を妨げるだけでなく、毛髪が十分に成長する前に脱落するようになる男性ホルモンの一種)の発生を強力に阻害します。そのことで毛根細胞が死滅することなく、脱毛を予防できるのです。またリアップ(塗り薬のミノキシジル)との併用も可能で、効果が高まるという報告もあります。
ではそのミノキシジルの内服薬は病院でもらうことはできないのかというと、残念ながらもらえません。日本では内服用ミノキシジルの認可が下りていないからです。個人輸入などで買うことができますが、もともと血圧の薬の副作用として発毛効果が見つかった薬であり、素人服用は生命に危険が及ぶこともあるので、よほど薄毛に嘆いているなどがない限りやめておいた方が無難です。
フィナステリドという薬が病院で処方可能なので、そちらを利用するのが最もベターな選択肢となります。
さて、ではこのフィナステリド。保険適用外なので自費診療になりますが、価格もそれほどぶっとんだモノでもなく、1錠当たり250~300円(病院によって違う)、1カ月当たり約1万円という感じです。
最近なんだか薄くなったかも……という状態を食い止めるには非常に心強いのですが、一旦目に見えて毛が減ってしまった場合は、やはりフッサフサに……というのは厳しいものがあります。
二つの図は、とある論文のフィナステリドの効果と満足度というものですが、やはり毛は生えるものの、満足に結びつくほどの効き目は3割に満たず、いまだ飲むだけでフッサフサに戻る薬というのは、認証薬はもちろん、未認証の薬にも存在しません。
現在、男性型脱毛症についてはっきり効果があるのは、5α還元型II型酵素によるものだけです。しかもその抑制効果も完璧ではなく、まだ完全な育毛剤が登場してるとは言えない状況なのです。
●金に糸目をつけない最終手段は自毛植毛
こうした絶望的な状況の中で、金に糸目をつけなければ最終手段もあります。それが自毛植毛です。
まだ生え残っている後頭部の毛を細胞ごと切り取り、それを生え際に植毛するというもの。自分の毛、自分の細胞であるので、免疫拒絶などは起きないため、感染症などの対策さえしっかりすれば定着率も高く、事実上の再生を可能とする数少ない物理的な解決手段なのです。費用は、だいたい1本当たり200~300円、通常は3000本移植で100万円ほどです。
これは、きちんとケアすれば数年は毛が生え続けるというもの。だいたい2~3年ごとに、追加で2000本ほど(数十万円)を足すことで、薄毛であることを悟られずに過ごすことができるというわけです。芸能人に愛用者が多いというのですが、それもうなずけますね。
人工毛の植毛という少し安いプランもあるのですが、そちらは医者の腕に左右されるところが大きい上に、定着率も低く、皮膚炎やびらんなどの悪化の報告も多く、禁止にしている国も多いことから、あまりオススメできる術式とは言えなさそうです。
ともあれ、頭皮をあまりいじめすぎない暮らしは、そのほかの身体にも良いことなので、毛髪のために生活習慣を見直してみる……というのはいかがでしょうか?
(文=へるどくたークラレ)
※本記事は、サイエンス・ライターがつづる化学コラムです。報道の見地から行っているものであり、再現性やその内容を保証するものではありません。一切の責任は編集部及び著者は負いかねます。また、薬を服用する際は、医師や薬剤師にご相談ください。
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