気がついたら口座が空っぽ!? 巧妙なセブン銀行ATMスキミングの手口
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2月26日、BIGBOX 高田馬場にあるセブン銀行のATMでスキミングが行われる事件が起きた。スキミングとは、キャッシュカードやクレジットカードの磁気データを読み取る行為のこと。データが取れれば、簡単に偽造カードが作れるのだ。さらに、カードの暗証番号がわかれば、お金を引き出すのは造作もない。
通常、スキミングは店員が隠れてスキミングマシンにカードを通す手法が多いのだが、今回の事件が珍しいのは正規のATMが現場になった点。正規ATMのカード挿入口の手前にスキミングマシンを設置したのだ。コンパクトな上に本体と色を合わせてあるので、わかりにくくなっている。正常な状態とスキミングマシンが付いている状態を見比べれば違いがわかるが、その場では絶対に気がつかない。そもそも、気がついてもATMが変わったくらいにしか思わないだろう。さらに、暗証番号を盗むためにカメラも設置している。ATM側面上部に適当な書類を入れる箱を付け、ピンホールカメラを忍ばせたのだ。カメラのレンズ径はわずか数ミリ。下からのぞいたとしても、すぐには気がつかない。
結局、早稲田駅や西武池袋本店など合計4カ所のATMに同種のスキミングマシンが設置されていたことが判明。設置されている時間帯に利用された回数は約3,200件。これまではATMを疑ったことなどないだろうが、誰もが被害に遭いかねないスキミング事件が起きた以上、今後は注意する必要がある。
カード挿入口に変なものはないか? カメラを仕込めそうな後付けした物はないか? などを確認したい。暗証番号を入力する際、手や体で隠すように押すのもいい。しかし、海外ではATM全面を覆うようなスキミングマシンも作られている。今後、ATMの防犯カメラを活用し、抜本的な監視が必要になるかもしれない。
ちなみに今回の事件では、セブン銀行が「お客様へのご負担がないよう対応いたします」としているため、万が一被害に遭っても、致命的なことにはならないだろう。
さらに種明かしをすると、今回のスキミングで収集されたのは、海外ATMで取引するためのデータ。つまり、海外で利用可能なカードの情報をゲットして、海外のATMでお金を引き出そうとしたのだ。確かに、防犯カメラのない新興国で引き出されたら、警察もトレースすることができない。しかし、警察によると今回の事件では、そのようなこともほぼ起きないという。特に、国内のATMで不正利用される可能性は極めて低いとのことなので、とりあえずは安心か。今回は、海外の犯罪組織が実行したと思われるが、国内の人間が周到に準備してスキミングを実行したら、即預金を引き下ろされる可能性はある。やはり、ATM利用時には、スキミングに注意するに越したことはないようだ。
(文=柳谷智宣)
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