“ハゲタカ”に狙われる西武 提携解約と引き換え詐欺まで要求され上場できない!?
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“ハゲタカ”に狙われる西武 提携解約と引き換え詐欺まで要求され上場できない!? – Business Journal(2月16日)
米大手ヘッジファンドで“ハゲ鷹”の異名を持つサーベラスが、西武鉄道やプリンスホテルを傘下に持つ「西武ホールディングス」の上場に関連して、その毒牙をむき出しにしている。
サーベラスと言えば、バブル経済崩壊後に様々な企業・資産を買収、二束三文で買収した企業・資産を高値で売り抜け利益を上げることから“ハゲ鷹ファンド”と呼ばれている。
今年に入っても、1月7日にあおぞら銀行の株式5億9125万株を売り出す発表した。今年1月の株式売り出しは、売出価格が231円で、サーベラスの懐には約1330億円が転がり込むことになる。
サーベラスは、2003年にソフトバンクが保有していた13億8000万株を1株=73円で買い入れたため、取得価格は約1000億円だった。その後、2006年11月にあおぞら銀行が再上場する際に、サーベラスは2億5800万株を1株=570円で売り出し、1390億円の資金を回収した。この時点で、サーベラスはあおぞら銀行に対する投資を回収し、390億円の利益を上げた。
一方、経営再建が進まず、業績も株価も低迷を続けていたあおぞら銀行は、2009年頃から積極的に自社株買いを行うようになり、4億250万株(発行済株式総数の21.31%)を保有しているが、何故かこの自己株式のサーベラスが共同保有という形になっている。加えて、2012年10月には、9249万株をあおぞら銀行の自社株買いに出して、1株=247円で売却し228億円を手にしている。
あおぞら銀行には、未だに1567億円の公的資金が入っており、その返済義務がある。本来なら2012年9月までに返済しなければ、公的資金として政府が保有している優先株は普通株に転換され、政府が大株主になる予定だったのだが、何故か普通株への転換が10年間猶予された。
あおぞら銀行を“しゃぶり尽くす姿”は、まさにサーベラスの本領発揮といえよう。そんなサーベラスが次のターゲットにしているのが西武HDだ。
2005年、西武HDは経営再建のためサーベラスが資本増強に応じたことで、現在32.4%を保有する筆頭株主となっている。西武HDは経営再建を進め、上場準備に取り掛かっていたが、2012年に東証への上場申請の条件である西武HDとサーベラスの間で締結している資本提携契約の解約をサーベラスが拒否したことで、上場問題は暗礁に乗り上げた。
この背景には、西武HDの上場にあたって、想定される株式の売出価格がサーベラスの想定していたものよりも低く見積もられたことがある。つまり、サーベラスとしては西武HDが現状のまま上場しても儲けが少ないため、西武HDに企業価値の向上を求め、売出価格の引き上げを図る意図があった。
事実、関係者によると、サーベラス側は資本提携契約の解約と同時に、売出価格のコントロール権を手中に握れるような条項を残すように強行に要求。しかし、西武HD側はこの要求が法令・ルール違反となるため、激しく抵抗し、はねつけた。
さらに、サーベラス側は西武HDの企業価値を引き上げるために、
(1)まったく具体化していない開発案件を経営計画に盛り込む
(2)売却予定のない施設を売却することにする
(3)西武鉄道の一部路線を廃線にする
(4)特急料金を引き上げる
(5)プリンスホテルのサービス手数料を2倍に引き上げる
といった“無理難題”を計画として公表することを要求している。
西武HD側は、これら実態のない計画は虚偽の公表になり、詐欺行為であるとして、断固として拒否の姿勢を示している。
こうした“泥沼の状況”が続く中で、最近になって複数の雑誌が、西武HD総帥の後藤高志社長に関する批判記事を掲載している。それは、あたかも自らの要求を通すために、サーベラスの不当な要求に屈しない後藤社長を退任に追い込むために掲載されたかのような内容とタイミングだ。
サーベラスは虚偽の計画を盛り込み、企業価値が毀損しても自らの利益が上がれば良いと考えているのだろうか。果たして、西武HDはこのサーベラスの不当な無理難題に解決策を見つけ、上場に結び付けることができるのであろうか?
両者の暗闘はまだまだ続く。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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