トンネルを管理する全市町村、点検マニュアルを保持せず…「壊れる」との認識不足
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トンネルを管理する全市町村、点検マニュアルを保持せず…「壊れる」との認識不足 – Business Journal(1月31日)
1月31日付朝日新聞朝刊は、国土交通省の調査により、全国の市町村道にある2362本のトンネルを管理する692市町村すべてが、トンネルの点検方法などを定めたマニュアルを持っていないことが判明したと報じた(記事『トンネル点検 手順所ゼロ』)。トンネルが完成して以降、1度も詳細な点検を実施していない市町村が多数あり、市町村はその理由について、
「トンネルは壊れにくいと思っていた」
「維持管理には予算は付きにくく、点検できなかった」
と説明している。
例えば、青森県の七戸町は、完成から40年が経つ「作田隧道」(全長197メートル)についてほとんど点検したことがなく、町の担当者は、
「コンクリートでできているんだから、50年くらいはもつんだろうという意識があった」
と話す。同町は昨年12月の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故を受けて、職員が歩いて目視で点検したところ、天井や側壁に亀裂が確認された。しかし、担当課には土木技術者として採用された職員はおらず、
「どうやって点検すればいいかはまだよくわからない。県と打合せをしながら検討したい」
と話す。
ほかにも、大分県日田市の「比佐津トンネル」(全長79メートル)も、笹子トンネルの事故以前は、道路の陥没などを見回る車で、ついでにトンネル内も巡回していた程度。市が管理するトンネルは他に16本あるが、
「そもそも、『トンネルがいつ壊れるかわからない』という考え自体がなかった」
という。笹子トンネル事故後の点検で、安全には問題ない程度のひびを発見。新年度に詳細な点検を行う。
こうした背景には、市町村の技術系職員の不足がある。昨年7月の国交省の調査によると、技術系職員がまったくいないのはすべての町の5割、村の7割に達した。
また、財源不足という要因もあるようだ。「鷲尾トンネル」(全長620メートル)を管理する高知市は、「道路などの維持管理費にはなかなか予算がつきにくかった」と話し、同市も車でのパトロールのみで定期点検は実施していなかったという。
国交省はこうした状況を受け、市町村へ早急に点検するよう求めるとともに、2月中旬を目処に市町村向けのマニュアルを配布する予定だ。
(文=編集部)
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