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KDDIの果敢なアピール、ソフトバンクのイー・アクセス買収の引き金とは?

iPhone 5で激化するau対ソフトバンク戦争の舞台裏と行く末

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iPhone 5で激化するau対ソフトバンク戦争の舞台裏と行く末 – Business Journal(11月2日)

●iPhone効果でソフトバンク優位?

 9月21日のiPhone 5の発売を契機に、ソフトバンクとKDDI(au)の競争がにわかに激化してきた。iPhone 4までは、iPhoneを販売する通信事業者(キャリア)はソフトバンク1社の独占だった。その構図が崩れたのは、2011年のiPhone 4Sの発売からだ。

 これは、業界にとって大きな事件だった。iPhone人気で順調に加入者を伸ばしていたソフトバンクにとっても、強力なライバルが出現したことになった。当時、ソフトバンク社長の孫正義氏はマスコミに対し、「100万規模のiPhoneユーザーが解約してもおかしくないと思った」と語ったが、そんな心配をよそにソフトバンク版iPhone 4Sの予約数は過去最高を記録、KDDIにとっては厳しいスタートとなった。

 もちろん、ソフトバンクもKDDIもiPhoneだけで商売をしているのではない。他のスマートフォンも含めたシェア争いの構造がある。ちなみに、携帯電話業界のシェアトップはNTTドコモ、次いで、KDDI、ソフトバンクと続く。しかし、契約者数の推移を見ていくと、確実にソフトバンクの数字が年々上がっており、KDDIとの差は小さくなってきている。これは、iPhoneユーザの増加によるところが大きいだろう。

bj_iphone1029_01.jpg携帯電話契約者数の推移(出典:社団法人 電気通信事業者協会)

 せっかくiPhoneの販売権を獲得したKDDIにとって、これはおもしろい話ではない。しかし、KDDIには他のキャリアにはない秘密兵器がある。それは、下り40Mbpsという高速データ通信ができる「WiMAX」というサービスである。KDDIは08年に100%出資の「UQコミュニケーションズ」という会社を立ち上げ、WiMAX事業を開始した。

 この事業化の成功を成し遂げたのは、現KDDI社長・田中孝司氏であった。同社は他キャリアより遅れつつもスマートフォンの販売に積極的に取り組み、iPhoneと共に、3G回線とWiMAX回線を使えるデュアルバンドのスマートフォンを多数投入してきた。このように、これまでKDDIはLTEに消極的であるように見えた。

●iPhoneのLTE対応がすべての始まり

bj_iphone1029_02.jpgiPhone 5は初のLTE対応となり、WiMAXや他
の高速データ通信規格には対応していない

 だが、今年は違った。初めてLTEという規格に対応したiPhone 5が発売されてから、田中社長はさまざまなIT系メディアに登場し、かつてない強い調子で、自社のネットワークの優位性を果敢にアピールした。LTEは、従来の3G通信よりも高速な規格で、下り最大75Mbpsで通信が可能だ。ただし、まだ始まったばかりのサービスであり、利用可能エリアの拡大はこれからだ。

 ちなみに、iPhoneは世界100カ国以上(12年末予定)で販売されるワールドモデルである。そのiPhoneが、iPhone 5でLTEを標準搭載してきたことは、全世界のキャリアの高速データ通信規格がLTEで塗りつぶされようとしていることを意味する。もちろん、日本も例外ではないだろう。

 KDDIがiPhoneで勝負をかけるなら、これまでのWiMAX路線をLTE主導に切り替えることが必要、と考えるのは自然だ。

bj_iphone1029_03.jpgKDDIではこれまでWiMAX対応スマホを積極的に販売してきたが、
2012年の冬モデルからはWiMAX対応機種を1台も出さず、全機種をLTE対応にした

●技術的優位性をアピールするKDDI

 技術的な詳細説明は割愛するが、具体的な内容としては、KDDIは割り当てられた周波数の関係で3G通信を犠牲にせず、ソフトバンクよりも有利にLTE化を進められる点や、ソフトバンクよりも基地局の性能が優れている点、LTEと3Gエリアとの切り替えを高速で行う技術「Optimized Handover」について、KDDIだけが完全対応している、といった点だ。

 しかし、この説明には謎もある。

 例えば、基地局については、ソフトバンクもKDDIと同様の方式でサービスを提供していることを公式に明らかにしている。実際のところ、基地局は規模や地域特性によってさまざまな設備を使い分けるのが通例であり、ソフトバンクの基地局がKDDIよりも劣っているという証拠はない。また、「Optimized Handover」については、NTTドコモが自社端末が対応していることを指摘し、KDDIはその誤りを認めている。しかも、iPhone 5ではそもそもこの機能に対応していない(他のスマホのみ対応)ことを明言していなかったため、iPhoneユーザの混乱も生じた。

bj_iphone1029_04.jpgKDDIの「Optimized Handover」の仕組み(出典:KDDI)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2012/1017d/index.html

 これまでにKDDIが表明してきた自社のインフラの優位性については、正しい部分も多々ある。長年業界第2位の老舗通信キャリアとして日本のバックボーンを支え、高品位なネットワークを培ってきた実績は評価されるべきだろう。LTEへの移行も、周波数帯の関係でソフトバンクよりも有利な部分はあるだろう。だが、KDDIはなぜ今、ここまで勇み足とも思えるほどの強いアピールをを行っているのだろうか?

●買収によって巨人化するソフトバンク

bj_iphone1029_05.jpgLTEの速度はこれまでの3Gの速度を凌駕する。
もっさりしていたWebブラウジングも、メールの添
付ファイルも高速に処理できる。しかし、これは高
品位なネットワークがあってのことだ

 その答えの一端を垣間見せる「事件」が起こった。

 10月1日に突然発表された、ソフトバンクのイー・アクセス買収である。イー・アクセス(旧イー・モバイル)は日本最後発の通信キャリアとして05年に設立され、戦略的な価格と先進的なスペックで日本の3G高速通信を牽引してきた。しかし、設立以来黒字化は達成できず、厳しい経営状況が続いていた。

 イー・アクセスはiPhone 5が対応する「バンド3」といわれる周波数でサービスを行っており、LTE化を進めている。このリソースをソフトバンク、KDDIが密かに狙っていたとしても決して不思議ではない。将来的にLTE化を有利に進められるからだ。また、経営再建中のPHS事業者、ウィルコムの契約者数とイー・アクセス(370万人と推計)の契約者数を合わせると、ソフトバンク傘下の契約者数の総計は現在のKDDIの契約者数を抜いて、業界第2位に躍り出る計算になる。まさに、KDDIにとって脅威である。

 このように、iPhone 5のLTE対応で両社の競争は激化した。保有する周波数帯域で強みを見せるKDDIと、イー・アクセスを武器に攻めのLTE化を推進しようとするソフトバンク。両社の対決は、我々ユーザにとって歓迎すべきものだ。この競争が、両社ともに日本のLTE化、ひいては、高速バックボーンの増強を促し、より快適でつながりやすいネットワークになることが期待できるからだ(もっとも、周波数は総務省が公平に割り当てるものであり、このような形で周波数を獲得するのは公正ではないとの指摘もある。これについては、ソフトバンクの今後の対応が問われる)。

 いずれにせよ、iPhoneに端を発したキャリア競争は始まったばかりだ。今は、ソフトバンク、KDDIともにLTEネットワークの黎明期の渦中にある。昨日まで3Gだった場所が、今日突然LTEで通信できるようになる……そんな希有な時代の真っただ中に我々はいる。まだ、LTEの速度も下り最大37.5Mbpsのところがほとんどだが、これも徐々に高速化されていくだろう。

 どちらが優れているか。今、その判断を下すのは早計だ。少なくとも、これから半年後、さらに1年後に、携帯ネットワークは格段の進化を遂げているに違いない。それが、今後増え続けるスマートフォンユーザにとって満足いくものかどうか。両社の真価が問われるのはこれからだ。
(文=池田冬彦)

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最終更新:2012/11/05 07:00
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