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「すべての原点はヴァギナだ!」“1331人斬り”宍戸錠の男前伝説

motoki1022.jpg「週刊新潮」10月25日号 中吊り広告より

グランプリ
「裏路地の居酒屋女将になった『淋しき「未来のファースト・レディ」安倍昭恵』の隙間風」(「週刊新潮」10月25日号)

第2位
「決意の内部告発!『原発ゼロ』はこうして潰された」(「週刊ポスト」11月2日号)

第3位
「エースのジョー【宍戸錠・78】『1331人斬り』」『世界第3位!?』伝説」(「週刊ポスト」11月2日号)

ワースト第1位
「おわびします 編集長河畠大四」(「週刊朝日」11月2日号)

 同業者OBとして読むに堪えない「おわび」が出た。

 先週のこの欄で、週刊朝日の「緊急連載 ハシシタ 奴の本性 佐野眞一+本誌取材班」について概ねこう書いた。

「週刊朝日がノンフィクション・ライターの佐野眞一を起用して連載を始めた。この連載の意図は、タイトルにある『ハシシタ』や『奴の本性』でわかろうというものだ。『あんぽん』(小学館)で孫正義の在日三世としての出自を徹底的に取材した佐野が、この連載で向かうのはどこになるのか。彼がじっくり腰を据えて橋下に取り組む覚悟なら、橋下本人にとってはもちろんのこと、読者にとっても興味深いものになるかもしれない。次回以降を注目したい」

 この中で、橋下徹大阪市長の父親の出身地を明記し、そこには被差別部落があると書いている。当然ながら、そのことを橋下市長が批判してくるのは予期されたことであろう。

 佐野はこうも書いているのだ。

「一番問題にしなければいけないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性である。そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげなくてはならない」

 また、書けば橋下はオレの身元調査までするのかと生来の攻撃的な本性をむき出しにしてくるかもしれないが、「それぐらい調べられる覚悟がなければ、そもそも総理を目指そうとすること自体笑止千万である」。この連載を佐野に頼んだ時点で、どういうものになるか編集長は予想できたはずだし、それ故、連載のタイトルも「橋下」ではなく「ハシシタ」にし、リードにも「血脈をたどる取材を始めた」と書いたのではないのか。

 それが、想定通り橋下市長が攻撃してきたとたん謝ってしまうというのは、私には理解できない。河畠編集長はこう書いている。

「同和地区を特定するなど極めて不適切な記述を複数掲載してしまいました。タイトルも適切ではありませんでした」

 連載も中止し、「橋下徹・大阪市長をはじめ、多くのみなさまにご不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを心よりおわびします」と続けている。全面降伏である。

 私は、被差別地域を明記したことをよしとするものではない。差別問題には、メディアに携わる人間は最大の関心と細心の注意を払うべきだと思っている。この連載の中で、具体的な地名まで挙げる必要があったのか、読んでみて疑問が残った。だが、編集長も筆者も、そうしなければいけないという確固たる意識があったからこそ、わざわざ明記したのではないのか。

 あえて「言論の覚悟」と言わせていただく。河畠編集長にはその覚悟もなく原稿を依頼し、内容をチェックし(文中には、社内の関係部署のチェックを受けたともある)、タイトルを付けたというのだろうか。

 橋下市長の批判に対して受けて立つ論理を編集部側が構築していなかったというのでは、言論機関として体をなさない週刊誌と言われても仕方あるまい。

 筆者である佐野眞一のコメントが載ってないのはどうしてなのか。彼には言いたいことが山ほどあるに違いない。それを次号に掲載すべきだろう。週刊誌への信頼がまた大きく傷ついた「事件」である。残念だ。

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