アップルとサムスンの訴訟合戦で、iPhoneが使えなくなる?
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アップルとサムスンの訴訟合戦で、iPhoneが使えなくなる? – Business Journal(9月24日)
判決を報じる8月31日付日経新聞。
アップルとサムスンが、スマートフォンやタブレットに関する特許訴訟を互いに仕掛け合っている。もともと、アップルはサムスンだけをターゲットにしていたわけではない。当初はGoogleのAndroidがiOSに似ているということで、代表的な端末メーカーであるサムスンを相手取ったといわれている。つまり、サムスンがGoogleの代理戦争をしていたという見方だ。
しかし、いつのまにか「vs.サムスン」色が強くなっている。
「新しいiPhoneを構成する部品として、今までサムスン製品を使っていたものを他社製に切り替えた」
「アップル製のパーツをサムスンに供給しなかった」
というような話も流れている。
これらは、サムスンやアップル自身が発表したわけではない。過去にもiPadの液晶パネルはサムスン単独供給だという話がまことしやかに流れていたのに、実はシャープも供給していたことが後からわかったりしている例もある(http://ggsoku.com/2012/03/isuppli-lcd-new-ipad/)。内部パーツの詳細な供給具合を外から推し量ることは難しいが、そういう話が出てくるほどに、2社の対立が深刻なのは確かなようだ。
ビジネスパートナーと泥沼の争い
部品供給の話からもわかるように、両社はもともとビジネスパートナーだった。ところが、サムスンの一部製品があまりにもiPhoneに似ているということで、アップルがサムスンを訴えた。そして最初の提訴からわずか1週間ほどで、サムスンは報復するようにアップルが自社の特許を侵害しているとして提訴した。この後は、各国で互いが互いを訴える泥沼の争いとなっている。
特許というのは国ごとに取得するものなので、日本で取得すれば世界で通用するというものではない。そのため、ある特許を数カ国で保持している企業が、同じく数カ国でビジネスを展開する企業に特許侵害をされていると考えた時、各国で訴訟を行わなくてはならない。
だから、世界的なビジネスを展開している2社が争っている今、世界各国で多数の訴訟があるという状態は、それほどおかしいことではない。それでも話題になるのは、その泥沼ぶりがすごいからかもしれない。
権利関係を主張する訴訟では、利用料金を払うことを前提に和解というケースも少なくないのに、サムスンはアメリカやオーストラリア、EUなどで端末の販売停止や販売差し止めという判決を受けている。そしてその後、どちらが嘘をついただとか、資料に不備があっただとかいう話も出てきて、話題には事欠かない。
実は2012年春には、一度両社間で和解が成立しそうだという話もあった。しかし和解交渉の合意に達した後にサムスンがアップルを提訴したりしたこともあり、決裂した(http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0400M_U2A600C1000000/)。こういう流れは、他人事として見ればおもしろい。だから、話題になるという部分もあるのだろう。
訴訟の争点と判決のおもしろさを見守ろう
彼らはこの戦いで何を得ようとしているのだろうか?
一連の訴訟自体は11年上旬から続いているものなのだが、ここ数カ月で突然大きく話題になった。新型iPhoneやGalaxyシリーズの新機種発売のこの時期に話題を盛り上げるとは、デキレースなのでは? という推測もある(http://wpb.shueisha.co.jp/2012/09/03/13770/)。
「世界的に大きく広告を出すコストよりも、訴訟を起こして話題になっておいて賠償金を支払うほうが、安価で効率がよい宣伝かもしれない」
という考え方だ。
何を考えてやっていることなのか、どういう決着がつくのかを見守りたい人は、争点に注目しよう。今回の一連の訴訟は、同じ内容のものを各国で行っているわけではない。大きく、
「見た目が似ているかどうか」
という話と、
「他社に権利のある技術を使っているかどうか」
という話に分けられる。
例えば、東京地裁ではサムスンが勝訴したが、ここで争われていたのはPCとスマートフォンのデータ同期という技術的な部分だった。一方、アメリカでアップルが勝利した訴訟の内容は、端末の外見や使い方が似ているというものだ。争点が違うのだから、判決も違ってくる。
中にはおもしろい判決もある。イギリスでは「似ているかどうか」を争点にした判決で、サムスンが勝訴した。つまり「似ていない」とされたわけだ。ところがその理由が、「サムスンの端末はアップルほどクールではない」というもの。「格好悪いからiPadと見間違えることなんてないよ」と言われたわけで、サムスンもアップルも苦笑いするしかないような結果が出ている(http://www.j-cast.com/2012/07/10138899.html?p=all)。
Windows Phoneは漁夫の利を得られるか?
さて、今後注目したいのは、私たちエンドユーザーがiPhoneやiPad、Galaxyシリーズを購入できなくなったり、購入したことで不利益を被ったりしないのか、ということだ。
結論からいってしまえば、これまでの流れから考えてアップル側が大きく負けることはあまり考えられない。つまりiPhoneやiPadが突然購入できなくなるということはなさそうだ。
ではGalaxyシリーズはどうなのか?
これは訴訟にかかる時間と商品開発の速度の関係上、もし現行機種が販売停止になっても、すぐに新機種が登場するという流れで、市場にGalaxy製品がなくなるということもなさそうだ。とりあえず一般消費者としては、ニヤニヤと見守ればいいらしい。
もしアプリや周辺機器を開発する側として先行きを見極めたいならば、一応視野に入れておいてほしいのが、マイクロソフトのWindows Phoneだ。今はすっかりサムスンとアップルの争いになっているものの、訴訟内容には「サムスンが使っているAndroidのここがiPhoneと似ている」というようなものも含まれている。
Androidの外見はいくらでも変えられるが、アイコンが四角いことまで突っ込まれている状態なので、今後Androidはリスキーだという見方も出てくるだろう。そこで、今のところそういうリスクがないものとしてWindows Phoneが今後伸びるのではないだろうか、と予測している人もいるのだ(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35996)。
日本ではほとんど個人で購入している人を見かけないWindows Phoneが、この機に乗じて躍進するのか? ということも含めて、今後の展開を見守っていこう。
(文=エースラッシュ)
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