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謎の鬼才が贈る、世にもシュールな短編DVD『喜安浩平の世界』

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痩せた男A 「そっとな、そっと……」
ガッチリ男B 「最初オレがゆっくり押すから、お前は足を上げてじっとしてればいい」
痩せた男A 「あアッ――、俺、こんな態勢初めてだ……」
ガッチリ男B 「そりゃ誰だって最初は“初めて”サ……。イクぞ!」

 これは男2人の逢瀬のワンシーン、ではない。俳優で声優の喜安浩平氏が、脚本・演出・出演をすべて担当したアニメーションDVD『喜安浩平の世界』(キングレコード)に出てくる第2話「はじめての自転車」での1コマである。『はじめの一歩』(日本テレビ系)や『テニスの王子様』(テレビ東京系)などを代表作に持つ喜安氏なだけに、メジャーどころを狙った作品なのかと思いきや、これがえらくやりたい放題暴れてくれているのだ。

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 全8編のアニメーションはすべて会話劇。第1話「はじめてのインタビュー」、第2話「はじめての自転車」、第3話「はじめてのお祭り」と、各話は独立しているものの、どれも“はじめての○○”がテーマになっている。どの話も淡々と進む独特の演出が目立つ中、セリフ、カメラワーク、イラスト、どれをとっても妙に力の入っているのが、冒頭の痩せた男Aとガッチリ男Bが登場する「はじめての自転車」だ。

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