アジア人と結婚する「なでしこ姫」増加と「生涯未婚率」上昇のやるせない関係
#本 #インタビュー
国際結婚の現在・過去・未来』
(東洋経済新報社)
20代半ばを過ぎると、友人の結婚式や結婚式の2次会の案内状が届き、自らの結婚を考える機会が増える読者も多いのではないだろうか。しかし、2010年の国勢調査によると、生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)は男性が20.1%、女性が10.6%と30年前に比べ男性では約8倍、女性では2倍以上に増えているという。
そんな中、アジア人男性と結婚し、現地で暮らす日本人女性=「なでしこ姫」が増えている。そんな「なでしこ姫」たちへのインタビュー調査をもとに書かれたのが『絶食系男子となでしこ姫 国際結婚の現在・過去・未来』(山田昌弘、開内文乃:著/東洋経済新報社)である。
本書では、「なでしこ姫」や「絶食系男子」(草食系にとどまらず、異性との交際をあきらめたり、そもそも異性との恋愛自体を面倒くさいがる男性)というキャッチーなキーワードを用いながらも、国際結婚を通し、それが日本の社会や経済、ジェンダーの問題とどうつながっているのかを分析している。今回、著者であり、家族社会学、ジェンダー理論、グローバリゼーション論を専門とする開内文乃氏に、現在の結婚難、そして「なでしこ姫」現象について話を聞いた。
――1980年には30代前半の未婚率は男性が14.3%、女性が7.7%でした。それが2010年では、30代前半の未婚率は男性が47.3%、女性が34.5%と大きく上昇しています。現在の結婚難というのは、やはり経済的要因が大きいのでしょうか?
開内 本書の共著者である中央大学の山田昌弘先生(中央大学文学部教授)がよく言われるように、20代半ばから30代半ばの未婚女性の約4割が期待する結婚相手の年収は600万円ですが、それに該当する未婚の男性は2~3%しかいない。大企業などで働く父親をもつ女性にとって、結婚相手に望む年収は、その父親の年収を基準に考えることが多い。また、86年に男女雇用機会均等法が施行されて以降、女性が社会に進出し始めました。彼女たちは父親を基準とし、同じような職場環境で働くことを望みます。これは、男性にも同じことがいえます。父親が大企業で働くような家庭で育った男女は、自分の父親の仕事を基準として就職先を考える傾向があるのです。そういった大企業に勤める父親をもつサラリーマン家庭で育つと、結婚にしても、就職にしても、親の期待や育った環境から大きく外れることがなかなかできない。しかしながら、現在のような経済状況のもとでは、男性ですら大企業の父親と同じようなポジションを得ることは厳しい。日本では女性の管理職比率が先進国最低レベルにあるように、女性が父親と同じようなポジションを得ることはさらに難しい状況です。父親と同じような職場環境で働けなかった女性は、せめて結婚後の生活は自らが育ってきた生活環境に近く、また子どもも同じような生活環境で育てたいと考えます。だからこそ、結婚相手には父親と同じくらいの稼ぎを求めるのです。しかし、若い男性側は厳しい経済状況の人が多いので、ミスマッチが起きているのです。
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