中毒者による破産・自殺・犯罪増加も……宝くじをやめられない中国政府の事情
#中国
ジャンボ宝くじ史上最高額となる1等4億円が当たる「サマージャンボ宝くじ」が7月9日から発売されるが、お隣中国では、“宝くじ中毒”の蔓延が社会問題となっている。
北京師範大の中国宝くじ事業研究センターによると、2億人以上にのぼる宝くじ愛好家のうち、700万人が仕事や生活に支障を来たすほどの宝くじ中毒となっているという。
特別行政区である香港とマカオを除き、賭博行為が一切禁止されている中国では、宝くじは唯一の公営ギャンブル。それだけに、我を忘れてのめり込んでしまう人も多いようだ。
広東省のブロック紙社会部記者も、こう話す。
「宝くじで破産した挙げ句に自殺を図る人や、宝くじの購入費欲しさを動機にした犯罪も増えている。また、そうした中毒者をカモにする『闇宝くじ』も横行している。ちなみに宝くじ中毒者には、過去に株で運良く儲けたという人が多い。当時のスリルと歓喜の体験を忘れられない一方、いまやかつての勢いはない株式市場では、『濡れ手に粟』は容易ではない。そこで、その射幸心を宝くじに向けてしまうようだ」
これほど弊害の多い宝くじだが、政府は宝くじを禁止するどころか、ここ数年販売額を25%というペースで増加させている。
理由は、その収入の大きさだ。昨年度の宝くじ販売額は約2兆6,000億円に達し、同年の中央政府の歳入、約65兆円の4%を占める規模だ。一方、中央政府の財政は約8兆4,000億円の赤字となっており、「どれだけ中毒者が出ようと、おいそれと宝くじを禁止することはできない状況」(同)なのだ。
同記者によれば、それどころか中国政府は宝くじの正当性を人々にアピールするため、「宝くじ学」という学問を創設し、大学に修士課程まで設置したという。
最大の「宝くじ中毒者」は中国政府ということか……。
(文=牧野源)
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