ルネサス社員語る「社員をもっとクビにしないと会社潰れる」
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ルネサス社員語る「社員をもっとクビにしないと会社潰れる」 – Business Journal(6月15日)
リストラ策を発表。
5月26日付朝日新聞は1面で、「経営不振に陥っている半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、取引先の銀行に対し、全従業員の3割近い計1万2000人程度を削減し、日立製作所をはじめとする親会社3社などに計1000億円の増資を引き受けてもらう経営再建策を示している」と報じた。しかしながら、再建計画案は実現性に乏しく、経営破綻までの秒読みが始まったとも噂されている。
そこで、実際にルネサスで働いている社員・A氏に、一連の報道に対し社内ではどのように受け止められているのか? などについて話を聞いた。
――今回のリストラの話を聞いたのはいつですか?
A氏 報道で知ったのが初めてです。最初は6500人程度のリストラ報道で、「聞いてないよ!」と。そのあと、1万人以上の大規模リストラ報道が出ましたが、社内的に情報が下りてきたのは、報道されてからですね。報道直後は、リストラの数だけが出てきて何が起きてるかわかりませんでしたが、そのあとに、労働組合側が「どうなんだ!」と経営側に問いただすじゃないですか。それに対し、一応の回答が出されました。
――会社からの回答は、どんな内容でしたか?
A氏 「報道の内容は、当社からの発表ではありません」といったお決まりの言葉だけで、現時点(5月31日)でも具体的な数字などは出ていません。おそらく知っているのは経営陣だけでしょう。ただ、報道ですでに出ていますし、社員には匂わせてはいると思います。僕らも、このままではやっていけないのはわかっていましたし。
――社内的には、この話はどのような感じで受け止められていますか?
A氏 いよいよ、きたか、っていう感じですね。もともと人数が多すぎるということはありましたし。日立製作所、三菱電機、NECの3社が合体した会社で、これまで大きなリストラはしてこなかったわけですし。
――出身母体の異なる社員の間で、確執のようなことはあったりしますか?
A氏 そういうのは、あまりないと思います。少なくとも、日々外部と接するような部隊には。でも、設計部署などでは、設計の仕方だったり、どっちの技術を使うかといったことで、いろいろある模様ですね。
――社内的には、以前から危機感のようなものはありましたか?
A氏 それはありました。売上推移とか見ればわかるじゃないですか。
――どのあたりで実感しますか?
A氏 やはり製品価格ですね。どこのメーカーでも一緒だと思いますが、最終製品の価格が下がっているじゃないですか。世界的に見て、日本企業の競争力は落ちていますよね。パナソニックやソニーでさえ、あのありさまですから。で、そうした企業は、僕らのお客さんでもあるので、そういう状況になれば僕らも引きずられるんです。今はホント、製品自体は価格だけの世界ですね。価格、価格、価格……と、日本の中でも価格競争になってしまってます。
人件費が価格に重くのしかかる
――国内や国外の競合他社と比べて、ルネサス製品の価格は高いほうですか?
A氏 高いほうだと思います。価格には結局、その会社の経費も含まれますよね。当然、社員が多いと、それだけ大きなコストがかかってしまいます。今のお客さんは性能よりも価格を優先していて、性能に差があっても、価格の安さを選ぶ傾向にあります。最低限の要求さえ満たしていれば、それでいいと。
――いつかは人員削減をしなくてはいけないと思ってましたか?
A氏 個人的には遅すぎると思いますね。ただ、リストラというのは、クビを切られる人がいるということですから、ターゲットにされやすい人のことを考えると、あまり大っぴらには言えないですけどね。とはいえ、現実的に、このままほっといたら潰れてしまう、というのはあります。
――上の年齢層が余っている?
A氏 (経理部や総務部などの)間接部門とか設計部門だと思いますけど。年齢層としては、上の人が完全に余っています。クビ切れなくて、若い人も採れない、という状況ですね。やっぱり大企業病にかかっていると思います。効率をもっと高めれば、(営業などの)フロント部門を含めて、人数を減らしてできると思いますよ。
――ルネサスの一番の問題は何だと思いますか?
A氏 コスト体質が高いことですかね。それは結局、人が多いということに行き着くのかもしれません。お金がないから新しいことができない。何もできないから売れない、売れないから価格をどんどん下げるけど、コスト体質の良い韓国勢などにはかなわない、という悪循環にどんどんはまってしまっていると。
――「取引先に支払い猶予を求めている」というニュースもありました。資金繰りは厳しいですか?
A氏 すぐに倒産するということはもちろんないですけど、余裕がないのは間違いないです。でも、思うのは、社員はみんな人のせいにしすぎかなと。「こういうことになったのは経営陣の責任だ」と労働組合とか言いますよね。確かに、そうかもしれないけど、それもどうなのかなと。
――社内を見てて、ここがダメってところはありますか?
A氏 ホームラン(大きな案件)ばかり狙っていることですかね。取れるところはしっかり取って、それでホームランを狙うのはいいんですけど。まぁ、それほど世の中うまくはいかないですけどね。
――復活するためには、どうすればいいと思いますか?
A氏 合併は絶対必要だと思います。一時、ニュースでも出ましたけど、SoC(System on a Chip:1つの半導体チップ上に、ある装置やシステム動作に必要な一連のすべての機能を実装する設計方式)などの特定の分野別に他社と合体するとか、海外勢に勝つためには日本の企業同士で連帯してやっていかないとつらいと思います。国内企業同士で争っている時代ではないですから。
――エルピーダメモリも破綻しましたが、ルネサスはどうなると思いますか?
A氏 倒産はないと思います。日本経済に与える規模がでかいので、エルピーダのように、少なくとも何かしらの措置は取られるかなと。もうすでにありましたけど、給料の削減がまた始まって、その上で大リストラが行われると思いますね。
(構成=編集部)
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