「違法ダウンロードの罰則化」議論 民主党賛成議員が党内へ圧力か
#民主党
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いまだに決着がつかない、違法ダウンロード罰則化の議論。与党・民主党内部で罰則化の賛否をめぐって調整がついていないことが、議論が停滞している原因だ。そうした中、5月25日に開催された民主党・知的財産制度改革推進議員連盟の総会で、罰則化を求める議員らがレコード業界関係者の口を借りて、政権への圧力を強めていたことがわかった。
衆議院第一議員会館で開催されたこの会合には、日本レコード協会事務局長の高杉健二氏、エイベックス・マーケティング株式会社執行役員の前田治昌氏、株式会社エムティーアイ社長の前多俊宏氏が出席。同議連に対して「違法に配信されていることを知りながら、有償の音楽・映像をダウンロードする行為に対して罰則を導入するための法律の制定」を求める要望書を提出した。また、同議連も「違法なインターネット配信からのダウンロード行為の罰則導入を求める決議(案)」をとりまとめた。
同議連は、民主党内部でもとくに著作権問題を専門的に取り扱うもの。この時期に総会を開き、罰則導入を求めたのはなぜか?
「違法ダウンロードの罰則化は、5月初旬から議論がストップしたままです。そこで、文化や教育政策について党の方針を決める民主党文部科学部門会議に、罰則化を求める立場から圧力をかける狙いがあったようです」
と、この問題に詳しい議員秘書は話す。
民主党内で違法ダウンロードの罰則化に極めて強く異議を唱えているのは、川内博史衆院議員と森ゆうこ参院議員の二人だが、この日は二人とも欠席。それに気づいた、罰則化に賛成しているとされる三宅雪子衆院議員が「今日はうるさい人はいないですね」と発言。また、出席していた菅直人前首相は「罰則化は若い人のメディアの発展を阻害する」と慎重な議論を求めたという。
自民党・公明党は6月6日に開催予定の衆議院文部科学委員会で「違法ダウンロード刑事罰化」を追加した修正案の提出を予定している。これに対して一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は、6月4日に議員向けの反対声明を発表している。ここ1カ月あまり議論が停滞しているため報道すら目にしなくなってしまったが、民主党内部の動向次第で、ともすれば罰則化が導入されてしまう可能性もあり、予断を許さない状況だ。
(取材・文=昼間たかし)
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