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富士ゼロックス「障がい者は用済み」解雇の実態

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富士ゼロックス「障がい者は用済み」解雇の実態 – Business Journal(5月2日)

post_10523.jpg「富士ゼロックスHP」より

 

ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!

 パワハラが蔓延しているといわれて久しい。あまり知られていないが、実は名の知れた大企業でも、それは横行している。例えば「社員に優しい」という社風で有名なカラー複合機大手の富士ゼロックス(以下、富士ゼロ)である。

 D氏(30代後半、男性)は2009年夏に富士ゼロに入社した。内臓の病気を患っており、障がい者雇用での入社だった。入社を決めた最大の動機は、富士ゼロは障がい者に優しいということで有名だったことと、フレックスタイム制度での採用だったことだった。

 D氏の配属先は東京都中央区にある支店だった。そこには約50人の社員がいた。D氏は3カ月間の試用期間を経て、晴れて正社員となり、大手企業に対するコピー機の営業を担当することになった。実はD氏は、前職で営業に関連する仕事に従事していたため、自信があったという。

「10日で40件の契約を結びました。数字がおもしろいように出て、すごくやりがいを感じました」とD氏は言う。もちろん、ほかの社員はそんなに契約は取れない。つまり、D氏は新人にもかかわらず突出して目立って仕事ができたわけである。ところがその直後、異変が起きた。

 ある日出勤すると、突然上司から呼び出しを受け、「本社の人事部に行け」と言われた。本社には人事部3人が待ち構えていて、人事部のH氏という男性が、こう切り出した。

「社外の女性からクレームが入りました。つきましては、入社後、社外で二人きりで会った女性の、名前、所属、住所を全て、会社に提出して下さい」

 H氏によるとそのクレームというのは、セクハラ行為に関する匿名の怪文書だというのだが、身に覚えのないD氏は「さっぱりわかりません」と反論。だが、「とりあえず調査するので、全部、教えて下さい」と言われたのだという。

 そこで「(業務上の)クレーム処理には全面的に協力しますが、クレームと関係ないことは聞かれたくありません」と言ったが、「ダメです。社員は会社に、プライベートのことを全て伝えなくてはいけません。これは業務命令です」とされた。

 その後、1カ月間にわたり、プライベートで会ったのはこういう女性です、という文書を作成し、その都度、人事部から「いつ、どこで、誰が、何を、どうしたということがはっきりとわかるように、5W1Hで記入するよう、改めて指示します」などと言われ、何度も書き直しを命じられた。しかもD氏の作成した文書は「顛末書」と位置づけられていた。D氏は営業も禁じられ、ひたすら顛末書を書かされ続けた。

 D氏に対する仕打ちは、これだけではない。執拗な”取り調べ”が終わった矢先に、会社側は持病のあるD氏にとって生命線でもあるフレックス制の禁止を命じてきたのだった。

 その後、富士ゼロのパワハラはさらにエスカレートしていく。D氏は営業という本来の仕事を取り上げられたまま、オフィス内の「植木の水やり」や「ゴミ箱管理」「ポスター貼り」といった「屈辱的な雑用」(D氏)を命じられるようになっていったのだという。

 このような日々が続き、D氏はたまらず支店長に相談した。すると、10年4月から「NB第三支店」(当時は新宿区、現在は中野区)という、リストラ要員が送り込まれる部署に左遷させられてしまった。

「富士ゼロックスは収益悪化を理由に、2008年に2千人のリストラを行いました。このリストラの時、辞めなかった中高年 だけ集めたのが、『NB第3支店』です。社内では”ゴミ捨て場”と呼ばれていて、ゼロックスの支店のなかで唯一、新卒が配属されない部署、と噂されていま した。NB第3支店には約50人の社員がいて五つのグループに分かれていました。ここの社員の多くは元理系の有名大の博士号取得者たちなのですが、畑違い の営業職をやらされているので、社員たちは『もとの部署に戻りたい』とさかんにグチをこぼしていました」(D氏)

 このNB第三支店でD氏は一日20社近く営業して、契約を取ってきた。すると1週間後、突然、営業禁止にさせられたという。「おそらく、成績 を出すと辞めさせることができなくなってしまうからだと思います」とD氏は語る。いうまでもなく仕事を取り上げるのは、典型的なパワハラの手口の一つである。

“パワハラ”との闘いは続く……

 そして同年夏、人事部のT氏から「身障者としては用済みですよ」などと罵倒され、ついに解雇された。表向きの解雇事由は「入社後における業績が極めて低く、且つ、再教育の結果でも改善されず、今後当社内での業務遂行に期待が持てない」「職場の 変更も実施し、環境改善を行ったが、会社の期待に答える改善がされない」「上司等の再三の注意を促すも反省の態度が見られず、改善が行われない」などと いった事由だった。しかも、人事部は、退職願を書かなければ失業給付をもらえない、とウソの説明をして、退職願を書くよう何度も迫った。

 D氏は解雇後、無職のままで、貯金を食いつぶしながら、「解雇無効」と「損害賠償」の訴えを起こすべく裁判の準備を進め、今年2月、ついに東京地裁に提訴した。訴えの内容は、富士ゼロ社長の山本忠人氏と人事部の社員など計7人に対し、「地位保全の確認」、つまり、職場への復帰と、未払い賃金約1400万円、慰謝料として計600万円、合計2007万7476円分を求めるというもの。

 このパワハラ事件について、富士ゼロ本社広報部は「係争中の案件なので回答はできません」というのみ。

 ちなみに、裁判資料によると、法廷では、富士ゼロ側は、個人情報を根堀り葉掘り聞いたことについては「セクハラを受けたという事実確認以外の目的では聞いていない。日時を確認したが、その射程を超えて、プライベートを詮索する目的はなかった」と反論。また、リストラ部署については「NB第三支店は、中高年の従業員が多いわけではない」と主張。障がい者を侮辱する発言については「一定のやり取りがあったことは認めるが、その余は否認する」と、主張をした。

 さらに「退職届を書かなければ失業給付がもらえない」と言ったことについては「離職するのに必要な書類提出を求めたに過ぎない。退職願の提出を強要した事実はない」と言い、フレックス禁止についても否定した。要するに、富士ゼロはD氏の訴えを全否定しているが、一方でD氏は、いずれも証拠となる書類や音源を持っているという。

 こうした”一方的なパワハラは、本当に起こったのだろうか?” 裁判についてD氏は「ますます怒りが増しています。社会で虐げられている人の代表として、闘っていきたい」と意気込みを語っている。富士ゼロ側の返答がない以上、今後の成り行きに注目したい。
(文=佐々木奎一/ジャーナリスト)

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最終更新:2012/05/07 07:00
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