大阪にそびえ立つ変な形の謎タワーに登ろうとしてきた!
#サブカルチャー #突撃取材野郎
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第12回は、大阪にある謎のタワーに行ってきました。
■大阪に、無名だけど巨大なタワーが!?
神への挑戦とばかりに天高く建造されたバベルの塔の例を挙げるまでもなく、人は皆、高くてデッカイ建造物に心奪われてしまいがちなもの。東京タワーやスカイツリーなど、日本各地に高くてデッカイ建造物がたくさんあるが、そのどれもが下から見上げて「ウヒョー!」展望台に上って「ヒョエーッ!」と、人を魅了して止まないのだ。……バカと煙は高いところに云々とか言うなよっ!
で、大阪にある高くてデッカイ建造物といって真っ先に思い浮かぶのは、やはり通天閣じゃないだろうか。日立の広告がズドーンと掲げられたコテコテ感あふれるルックスは、周囲のうさんくさーい街並みと相まって、大阪のシンボルとしての確固たる地位を確立している。あとは、大阪万博のシンボル・太陽の塔なんかも大阪におけるビッグなタワーの代表格と言えるか。
ちなみに高さは、通天閣が100メートル、太陽の塔が70メートルと、まあ東京タワー(333メートル)や東京スカイツリー(634メートル)といった東京勢には劣るものの、なかなかの巨大っぷり。
しかし、この通天閣や太陽の塔の2倍近い高さがあるにもかかわらず、知名度はビックリするほど低い不遇のタワーが大阪にあることをご存じだろうか? それは、大阪の富田林市にあるPLタワーこと大平和祈念塔。名前からして、少々アヤシイ雰囲気が漂っているが……!?
■幻想的で珍妙なタワー……こんなの見たことないよ。
さて、早速やって来た富田林駅。駅舎から出たらいきなり尋常じゃないフォルムをしたタワーが目に飛び込んできて驚愕のあまりヘコッと腰砕けしそうに。
ごくごくフツーな地方都市の風景の中に、いきなりズドドーンとそびえ立つ変な形のタワー。東京タワーを紙粘土でコーティングした感じというか、ガウディっぽいというか……とにかく従来のタワーという概念を逸脱した珍妙な形状で、肉眼で見てなかったら「コレCG?」と思ってしまうほど違和感MAXな光景だ。こんなのを日常的に眺めている地元住人はどう思っているのやら。
とにかく近くに行ってみようと歩き出したものの、これがまた巨大すぎるせいで距離感がメチャクチャになってて、歩いても歩いても近づいているんだか遠ざかっているんだかよく分からないのだ。
そんなこんなで歩くこと約15分。ようやく大平和祈念塔の敷地内らしき場所に到着したのだが、間近で見るとホントにデカイ……デカすぎるよこのタワー!
視界に入りきらないくらい超・ドレッドノート級なこのタワーの高さはなんと180メートル! もちろん東京タワーやスカイツリーの方が遙かに高いんだけど、東京タワーが鉄骨むき出しのシンプルなルックスなのに対して、コンクリート(?)でゴテッとくるまれた大平和祈念塔は重厚感&圧迫感満点。単体でこれだけ迫力のある建造物ってなかなかないぞ。
■宗教絡みのタワーだったんですな
それにしてもこのタワー、一体なんのために建てられたものなんのだろうか。受付にいたおっちゃんに訊いてみたところ、
「この塔は、パーフェクトリバティー教団が歴史上のあらゆる戦争犠牲者の慰霊と鎮魂のために作ったものなんですよ。2階にある神殿には戦争犠牲者の情報がマイクロフィルムに記録されて保管されているんです」
パーフェクトリバティー教団といえば、高校野球で有名なPL学園などを運営していることでも知られる宗教団体ですな。しかし、電波を飛ばすわけでも、何かを監視したりするわけでもなく、慰霊のためのモニュメントとしてこれだけ巨大なタワーをぶっ建ててしまうとはなんと豪気な……。やっぱ宗教って儲かるのかね?
「見てもらったら分かると思いますけど、この塔は天に向かって指を突き立てた形をしているんですよ。『世界はひとつ』という願いを表現しています」
うーんと、そう言われてみれば確かに指を突き立てているように見えなくもないものの、どっちかというと巨大なファックユーという感じが……。もちろんそんなこと言ったらぶん殴られること必至なので、口には出さないけど。
ま、何はなくとも、これだけの立派なタワーにやって来たら登らずにはいられないでしょう。エレベーターはどこなの?
「いやあ、一般の方は上まで登れないんですよ。昔は展望台まで開放していたんですが、慰霊とか関係なくレジャー感覚で来る人が増えちゃったもんで……」
ガーン! 目の前に巨大なタワーを見せつけられてるのに登れないなんてっ。確かに、戦争被害者の慰霊のための施設だっていうのにカップルが展望台に上がって「いい景色だねー」とかなんとかいいながらイチャイチャイチャイチャしてるのを見かけたら思わず「お前の家に赤紙届けッ!」と呪いをかけちゃいそうだけど。
ダメだっつうのは仕方がないので、展望台に上がるのはあきらめて神殿を参拝させてもらって帰ることに。あまりに非現実的な光景を見過ぎたせいで、帰る道すがら「オレは夢を見てたんじゃないか……」という気分になってしまった。
ちなみに毎年8月1日には大平和祈念塔の周りで世界平和を願ってすさまじい量の花火がバッコンバッコン打ち上げられるんだとか。異様な形のタワーと花火のコラボレーションで、ますます非現実的な光景が観られそう。それも行ってみたいなぁ。
■大平和祈念塔
■開館時間 午前10時から午後4時
■休館日 毎週水曜日
■所在地 大阪府富田林市新堂 2172 -1
(取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
ワンダーワンダー。
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