「世襲制を批判する声も……」 金正日同志の死に”親友”中国人民の反応は!?
#北朝鮮
「金正日総書記は朝鮮人民の偉大な指導者で、中国人民の親友でもあり、朝鮮の社会主義事業の発展と中朝の友好関係の発展に大きく貢献した」
これは、中国外交部の報道官が、金正日の逝去に際し発表した談話である。改革開放を推し進め、北朝鮮とは全く違う道を歩んできた中国だが、ともに社会主義を標榜する以上、北朝鮮とはやはり同志という立場なのだ。
しかしこれは、人民の声を代表するものではない。
金正日の死亡が報じられた際、たまたま中国広東省を取材中だった筆者は、人民たちの声を拾ってみた。
広州市のカラオケスナックで働く28歳の女性は、
「中国にも官二代とか富二代(官僚や富豪の二世)っていう、親の七光りで威張り散らしている連中がたくさんいるけど、金正日はその最たるもの」
と、同国の3代にもわたる世襲制を痛烈に批判。
また、広州市と深セン市を結ぶ高速鉄道に乗車していた35歳の男性も「中国に来るたびに金や食料をせびっていた印象しかない」と話すにとどまった。
さらに、深セン市内の40代のタクシードライバーは、「さんざんうまいもの食っていい女抱いたのだから、死んでも悔いはなかっただろうな!」
と、嘲笑するばかり。結局、金正日を同志と呼ぶ人民に出会うことはなかった。
一方、中国版Twitter「微博」では、「毛沢東主席の同志である金日成の息子なのだから、金正日は我々人民にとって同志も同然。哀悼する」など、金正日の死を惜しむ声も聞こえてくる。また、中国人船長による韓国海洋警備員刺殺事件で中韓の対立が深まっていた時期だったこともあり、「金正恩大将同志に、南韓を成敗してもらうようお願い申し上げます!」などといった過激な発言も書き込まれていた。しかし、やはり大半を占めるのは、北朝鮮の政治体制や、カメラの前で一斉に泣き崩れる北朝鮮人民に異議を唱える書き込みだ。
数少ない友達であったはずの中国人民にも見限られた、金一族率いる北朝鮮。国際社会での孤立が続けば、どんな暴挙に出るか分からない!?
(文=高田信人)
終焉なのか、序章なのか。
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