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マンガ業界 危険なウラ話[美内すずえインタビュー]

教祖じゃありません!巨匠・美内すずえ『ガラスの仮面』に込めた宇宙メッセージを語る

【プレミアサイゾーより】

──1975年に連載がスタートした、少女マンガ界を代表する作品『ガラスの仮面』。今年の7月には、連載開始から36年目にしてついに47巻が発売され、大きな話題を呼んだ。その作者であり、さまざまな神秘現象の体験者としても知られる美内すずえ先生に、いよいよクライマックスにさしかかった同作への思いと、初めて明かされる過去の”新宗教・教祖説”の真相について、語っていただいた。

1112_miuchi_n.jpg(写真/田中まこと)

──今年7月に発売された『ガラスの仮面』47巻では、連載36年目でついに、北島マヤと速水真澄が、お互いの気持ちを確認し合うことになりました。待ち望んでいたファンも多いと思いますが、ファンからの反応はいかがでしたか?

美内すずえ(以下、美内) 反応はとても良かったですよ。「30年間読んできて、やっとここまできたと思ったら涙が出ました」というお便りやメールをたくさん頂きました。マヤと亜弓が目指す『紅天女』がどうなるかということより、真澄とマヤの恋がどうなるのか、はらはらしながら待っている方が予想以上に多いことに驚きました。そういえば以前、「私が死ぬまでになんとか完結させて欲しい」と、70代のイタリアの方からメールを頂きましたが、その方も2人の恋の熱心な応援者でした。

──『ガラスの仮面』の作中でマヤたちが演じる戯曲は、『若草物語』などの有名な作品から、先生がオリジナルで考えたものまでさまざまです。中でも、作品の軸であり、ついに試演目前となった『紅天女』【註1】は、やはり、先生にとっても思い入れの強い作品なんですか?

美内 『紅天女』に関しては、不思議な話がたくさんあるんですね。連載当初(1975年)からストーリーの大まかな設定は決めていたんですが、その舞台をどこにするかが、なかなか決まらなくて。そして、忘れもしない85年11月2日、たまたま人に勧められて奈良県の奥吉野にある天河神社を訪れたんですが、神社に着いた瞬間、なんだか都に来たような、とても雅な感じを受けて。空気の中に音楽が溢れていて、(空気を)ぷつっとつつくとピューッと音楽が溢れ出しそうな……不思議な感覚でした。宮司さんにお話を聞くと、その神社は南朝と深いかかわりがあって、当時の天皇もお参りされた場所だと。都に来たような感覚になったのはそのせいなのかもしれませんね。おまけに、ここは芸能の神様が祀られていて、昔から能楽師がよくお参りに来られるとか。かの世阿弥【註2】が佐渡に流された際も、息子の観世元雅がそれを解いてもらおうと尉面【註3】をそこに奉納した歴史があり、今でも宝物庫に収められています。『ガラスの仮面』も演劇の作品ですから、すべてがつながって、ここを紅天女の故郷にしようと決めました。

──それは、不思議な話ですね……。

美内 『紅天女』にまつわる不思議な話は、ほかにもあるんですよ。95年の阪神淡路大震災の直後に、「大黒正宗酒造」という神戸の灘で2番目に古い造り酒屋の奥さんと知り合って、「『紅天女』のお酒を造りましょう」という話になったんです。ご主人に話を聞くと、儲けるためではなく、震災から立ち直るきっかけになるようなお酒を造りたいとおっしゃった。だったら、「お酒の原点に戻って造りませんか」と提案したんです。お酒はお米から造りますよね。そしてそのお米は、太陽の恵みと土の恵み、水の恵みで造られる。かつてお酒は、そんな自然に感謝し、田植えや稲刈りの時期にお祭りをして神様に捧げたんです。そんな話をしたら、ご主人が、「じゃあ、昔のように機械を使わず、すべて手造りで造りましょう」とおっしゃって。

 それで、最初のお酒ができ上がった頃、大黒正宗の奥さんが京都に旅行されたんですね。屋号に合わせて大黒様にお参りしようと、たまたま乗ったタクシーの運転手さんに「どこか良い大黒様をお祀りしているところはないですか」と尋ねると、嵯峨野のあるお寺に案内された。その参拝が済んだ直後に、奥さんは私に電話をしてきたんですが、その話を聞いてびっくり。住職さんの話によると、その寺に祀られている高さ150センチほどもある大黒天像の由来が、『紅天女』のストーリーそっくりなんですよ。応仁の乱の頃、都が荒れているのを非常に憂えていた時の天皇が、ある日夢を見るんです。マンガの『紅天女』は南北朝の頃で、天皇の夢に現れるのは美しい天女なんですが、こちらは大きな大黒天。その大黒天が、「我が姿を彫って奉れば、世は平和になるだろう」とマンガそっくりなお告げをする。それで、戦火で燃え残った京都御所の大黒柱で彫らせたのが、そのお寺の大黒天像なんです。しかも作品中、天女像を彫る仏師が住んでいるのは、嵯峨野の設定。なんだか出来すぎてますよね? 偶然ではないような気がしました。以来、私も時々そのお寺にお参りさせていただいて、今では大きな大黒天像の前に、『ガラスの仮面』の全巻と『紅天女』のお酒がお供えされているんです(笑)。

──マンガと現実がつながっていた、と。実は、作品中、美内先生自身とつながる部分も感じました。38巻で、月影千草が「天地一切の万物がわたしと同じものであり、わたしと天地一切の万物が同じものである」と、仏教の悟りを思わせる言葉を語ります。あれは”創造者”である先生ご自身の心境なのでしょうか?

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最終更新:2011/11/30 10:30
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