「結局は通販番組ばかりに……?」テレビ大不況時代にBSデジタル放送倍増の裏事情
#テレビ
10月1日、BSスカパー!やBSアニマックスなどが開局し、BSデジタル放送のチャンネル数は、これまでの12チャンネルから24チャンネルに、一挙倍増した。
ここ数年、テレビ界全体は不況だといわれている中、なんだか景気のいい話題のような気がしてしまうが、これによってタレントなどの出演者や制作会社なども、仕事の機会が一気に増えるなど開局バブルのような状況が訪れていたりするのだろうか。ある放送作家は言う。
「とりわけ、そういうわけではないんです。今回開局したチャンネルは、スカパー!やアニマックスなど、これまでCS放送でやっていた局が多いんですよ。BSチャンネル独自制作の番組もあるにはあるのですが、CSでの人気番組をBSでも流すということもけっこうあります。過去の映画やドラマ、アニメ、海外ドラマをそのまま流す割合も高い。だから、チャンネル数が増えたといっても、新たに作る番組はそれほど多くなっているわけではなくて、これによって仕事が増えているといったことは、全般的になさそうですね」
現場レベルではそれほど大きな変化はないというが、では、CS放送からBSに切り替えるメリットは、どういったところにあるのだろうか。
「CSの場合、ハイビジョンで見られないものもあったんですよ。それがBSのハイビジョン放送で見られるというのが、BSに電波を移すメリットのひとつですね。あと、なんとなく『BS』といった方が、どことなくメジャー感がありそうなところもあるかもしれません(笑)」(同作家)
一挙に増えたBSチャンネル。冒頭で述べたようにテレビ界全体が不況といわれる中で経営を成り立たせていくのは大変な気もするが、そのあたりはどうなのだろうか。
「まず、BSも基本は広告収入が収入の大きな割合を占めているはずですが、この状況でいきなり広告が増えるということは考えられないので、それだけだとなかなか大変ですよね。BSフジとかBS日テレとか、母体となる地上波キー局があるBS局は単体でなくて、地上波含めて全体で利益を出すような考え方だと思います」
今回増えたBS12チャンネルのうち、10チャンネルが有料放送となっていて(一部無料放送の番組もあり)、これもBS新チャンネルを支える大きな収入源だ。前出の作家は言う。
「お金を出して番組を見たいという人にとっては、スポーツだったりアニメだったり、見たいものにお金を払うという感覚の人が多いので、BSだからとかCSだからとかといったことは、そこまで関係ないと思います」
広告が入らないと、放送を成り立たせることはなかなか難しい。そこで登場するのが、自らお金を出して番組を制作・放送してくれる通販番組だ。中には放送する番組の半分近くが通販番組になっているBS局もあるようだが、通販番組は、局にとってはありがたい存在になっているよう。
「お金が無いと通販番組、ということになっちゃいますね(笑)」(前出・作家)
テレビ雑誌などでは、番組表の製作やチェックなどの手間が増えたという声もある。あるテレビ雑誌ライターは、こう言っていた。
「BSのチャンネルが倍になったということを知っている人って、実はあまりいないんですよ。開局特番をやったりしてはいましたが、地上波ではあまりPRしませんしね。浸透にはもう少し時間がかかるかもしれませんね」
2012年春には、さらにチャンネル数が31チャンネルにまで増える予定だというが、結局通販番組だらけということにならないか、心配なところだ。
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わざわざアンテナ付けて通販なんてみたくない。
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