学生気分で訪れたい! 大学併設の博物館『TOKYO大学博物館ガイド』
#本
お金をかけずに、知的好奇心を満たしたいの。
なぁんて、欲張りなアナタ。大学に併設された博物館に行ってみてはいかが? 「えっ、大学に博物館?」と思うかもしれないが、東京の大学には、意外にもなかなか個性豊かな博物館を始め、美術館や植物園など見学可能な施設が存在している。
『TOKYO大学博物館ガイド』(P-VIBE BOOKS)では、そんな施設を、どーんと100件も、紹介している。たとえば、武蔵野音楽大学江古田キャンパスの楽器博物館や、東京農業大学の食と農の博物館など、大学の特色が濃厚に出ている博物館。また、立教大学のように、江戸川乱歩の”お宅”へ遊びに行けるちょっと変りダネも。これは、乱歩の長男である平井隆太郎氏が立教大学の名誉教授であった関係で、2002年に平井家が譲渡したもの。自筆原稿や書簡などの閲覧にも対応してもらえるので、乱歩ファンにはたまらない。
さらに、どうせならば、有名大学にミーハー気分で行ってみたい。そんな人には、東京大学大学院理学系研究科付属植物園がおススメ。一般的には、「小石川植物園」の名前で知られる東京大学の教育実習施設で、都会のど真ん中にありながら、16万1,588㎡という広大な敷地を持つ。
個人的にも以前から気になっていた植物園だが、東京大学の施設ということはまったく知らなかった。知人から、ものすごい広くて落ち着ける園だと聞いたことがあったので、芝生の上でゴロゴロしに行ってみようかなんてぐうたらな考えを持っていたのだが、さすがは東京大学。ただの植物園ではなかった。およそ320年前、徳川幕府が作った「小石川御薬園」がこの植物園の遠い前身であるという驚きの歴史があった。さらに、植物が研究したい人には(というか、そっちが正しいのかも……)、植物園本館に納められた植物標本が約70万点、植物学関連図書は約2万冊と圧倒的な資料の量を誇り、植物好きや植物を研究をしている人は何度でも通いたくなるはず。
そして、せっかく大学博物館を訪れたらチェックしておきたいものが、大学のオリジナルグッズ。東京藝術大学では、デザイン科教授がデザインした、お酒「いいちこ」のオリジナルフラスコ、東京農大の十八番「大根踊り」を彷彿とさせる、大根の形をしたチーズケーキなど、各大学でかなりこだわっていて、何かしら興味を引く一品にめぐり合えるはず。
それにしても、大学博物館のメリットはなんといっても、入場料が0円か、せいぜい数百円で、とってもお手頃なところ。本書を手に、久しぶりに学生気分で大学を訪れてみてはどうでしょ?
(文=上浦未来)
●大坪覚(おおつぼ・さとる)
1967年富山県生まれ。龍谷大学文学部、文化学院創造表現科を卒業後、フリーライターとなる。情報誌で映画情報、ブックレビューなどを書き、2009年からは文化学院文芸コース・創作実習の講師を務める。
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