仲里依紗がまぶし過ぎる! 粋な妊婦の人情コメディー『ハラがコレなんで』
#映画
今回紹介する3本の映画は、コメディー、サスペンス、ドキュメンタリーとジャンルこそ違えど、いずれも「女性の生きる姿」に迫った注目作だ。
11月5日公開の『ハラがコレなんで』は、『時をかける少女』(2010)の仲里依紗が個性的な妊婦役を演じた人情コメディー。義理人情に厚く、「粋」に生きることが何より大事と考える妊娠9カ月の光子は、恋人と別れて所持金もなくなり、幼少期を過ごした時代遅れの長屋に戻る。幼なじみの陽一とその叔父が細々と営む食堂を光子が手伝うようになり、店と長屋は少しずつ活気を取り戻すが……。
『川の底からこんにちは』(10)の石井裕也監督が、持ち味である独特の笑いのセンスと、社会の底辺に生きる人々への温かいまなざしを本作でも発揮。何よりも粋であることにこだわる妊婦という、今どきあり得ない光子の設定にもかかわらず、監督の演出力と仲里依紗の太陽のような魅力のおかげで、作品世界の中ではしっかり存在感のあるキャラクターに。今の日本の状況で、「気楽に待っていれば、そのうちきっといい風が吹くから」という光子のせりふを、励まされる思いで聞く観客はきっと多いはず。
同じく11月5日に封切られる『スリーピング・ビューティー~禁断の悦び~』は、川端康成の『眠れる美女」』を新解釈で映画化した官能サスペンス。苦学生のルーシーは、さまざまなアルバイトを掛け持つが、なかなか楽にならない。そんなある日、雑誌の求人で見つけた秘密クラブで高収入の仕事を始める。初めのうちは下着姿で上流階級の男性たちに給仕していたが、仕事の内容は次第にエスカレート。邸宅の寝室で睡眠薬を飲み、眠ったまま男性客と一夜を過ごすという謎めいたものになっていく。
『エンジェル ウォーズ』(11)のセーラー服に日本刀という金髪美少女ヒロイン役で世のオタクたちを虜にしたエミリー・ブラウニングが、今作では白い肌がまぶしいフルヌードを披露。上流社会の倒錯した遊興をのぞき見ているような気分も味わえる。登場人物たちを観察しているかのような冷めた映像と、独特のアンニュイな雰囲気が心に残る作品だ。
最後は、現在公開中のドキュメンタリー『がんばっぺ フラガール! フクシマに生きる。彼女たちのいま』。今年3月の地震、津波、原発事故と風評被害で、休業に追い込まれた福島県いわき市のレジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」。同施設に所属するフラガールたちを中心に、施設の従業員や一時避難所として宿泊していた住民たちなどの今の暮らしを追う。
営業再開に向け力を合わせる従業員たちや、復興に向けて全国に笑顔を届ける「全国きずなキャラバン」で巡業するフラガールたちの奮闘ぶりに、思わず目頭が熱くなる。復興の想いを胸に笑顔で踊り続ける彼女たちの姿を、できるだけ大勢の人に見てほしいと切に願う。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ハラがコレなんで』作品情報
<http://eiga.com/movie/56326/>
『スリーピング・ビューティー~禁断の悦び~』作品情報
<http://eiga.com/movie/57107/>
『がんばっぺ フラガール! フクシマに生きる。彼女たちのいま』作品情報
<http://eiga.com/movie/57220/>
かわゆす。
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