「これがVIPクオリティ!?」元テレビマン2ちゃんねらーによるYouTubeアニメが話題に
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8月下旬、「私の居場所はインターネット」と語る、引きこもりの少女が主人公のアニメ『despair/hope』がYouTubeを通じて公開され、2ちゃんねるをはじめ、各種ニュースサイトで話題となった。
このアニメは、愛媛県松山市の動画配信サイト「テレビ四国」が製作したもの。聞き慣れない局名を目にして「テレビ四国とはどういう会社だろう?」と疑問に思ったネットユーザーも数多くいたようだが、実はグル―ポンの「スカスカおせち」を最初に映像にして報じたのも、このテレビ四国だ。
この2つの取り組みを見ただけでも、インターネットの現在のあり方を非常に熟知していると感じられるのだが、実はプロデューサー兼監督を務めているテレビ四国の水口真吾報道制作局長は、その昔、2ちゃんねるのν速(ニュース速報板)やVIP板、2ちゃんねる証券取引所(2ちゃんねる株)などで、いわゆるコテハンの”したり@ν速ファンド”という名前で活動をしていたという。そんな水口氏が、インターネットで情報の送り手となったのはなぜなのだろうか。本人を直撃した。
水口 「もともと私は地上波民放テレビ局の正社員で報道記者をしていましたが、退職してからネットの世界にハマりました。自分は情報の送り手でしたが、テレビ局にいると、送り手が一方的に情報を発信するだけで、受け手は見ていることしかできないという構造に疑問を持っていました。でも、2ちゃんねるを知って、ここにこそ国民の声があると思って。ネットがあれば、全員が受け手にも送り手にもなれる。だから、自分がまずそれをやってみようと思ったんです」
テレビ局で記者をやっていれば、「受け手」の声に耳を傾けるようなことは徐々になくなっていくもの。それでも、情報の格差から目を背けなかったのには理由があるという。
水口 「実は、学生時代に別のテレビ局で4年間アルバイトをしていてたんですが、その時に記者やカメラマンに、僕らバイトはひとくくりにされて”バイト君”と呼ばれていたんです。この呼ばれ方に、2ちゃんで言う”名無し”になったような屈辱を感じました。その経験からテレビ局の特権意識に反発したし、だからこそテレビ局に入りたかったんです」
しかし、実際に記者となってからも、その”特権階級”に対しての疑問は消えず、退社して現在のテレビ四国での活動を始めた。今回のアニメは、ネット上でも賛否両論あったようだが……。
水口 「意見は10人いたら10通りあってもいいと思います。それに、ネットをしていて、フラッシュ動画やMADの面白さを知って衝撃的でした。特権的なテレビ局の人が作るものでなくて、ごく普通の人が作ったものの方が面白い。今回のアニメも、僕以外のスタッフのアイデアをどんどん取り入れていますし、このアニメの主人公も、2ちゃんねるのオフ会や、mixi、そのほか普通に生活していてリアルで知り合ったさまざまな女性や男性の話をもとに作ったキャラクターなんです」
水口氏の話の通り、ネットでは「自分のことのようだ」「リアルだ」という声も多かったが、人々の声をキャラに反映したからこその反応だろう。ほかにも、主人公のハルカの声が「まるでボーカロイドのよう」という意見もあったが……。
水口 「ハルカの声はボカロではなく、テレビ四国のアナウンサー・宇宙うさぎの生の声です。ニュースは普通に読んでいるんですが、はるかの心情を想像してしゃべったところ、あの声になっただけなんです(笑)」
現在、『despair/hope』は10話までを公開中だが、これからも、ネットだからこそできる活動は続くのだろうか。
水口 「テレビ局時代に視聴率ありきの姿勢に疑問を感じていたので、これからも本当にみんなが知りたいものや、受け手と作り手の間に隔たりのない創作物を公開していきたいですね。ネットっていうのは文明開化で平成の黒船。どんどんいろんな人が参加していけるメディアだと思いますから、ほかの人にも参加してほしいですね」
実は、このアニメを公開した直後に、ニコニコ動画から連絡があり、テレビ四国の公式チャンネルができることになったとのこと。これからも、テレビ四国は、ネットで話題を提供してくれそうだ。
●テレビ四国
<http://tvshikoku.com/>
ぎゅっとね。
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