元警察官が語る正しい通報の仕方『これからの「正義の通報」の話をしよう』
#本 #警察
電車内での痴漢や殴り合い、自転車の窃盗など、日常の中で私たちが犯罪を目にする機会は多い。そして、その犯罪を見て見ぬふりしてしまうことも少なからずあるのではないだろうか。いじめを見て見ぬふりするように、犯罪を見て見ぬふりすることは、結果的に犯罪者に手を貸していることにならないだろうか。
実のところ、犯人逮捕の一番のきっかけは通報によるものであり、通報があるかないかでは、犯罪の検挙率が格段に違う。さらに軽犯罪を通報することが、重犯罪の防止につながるなど、通報は犯罪抑止に極めて重要な意味をもっているのだ。『これからの「正義の通報」の話をしよう』(LEADERS NOTE)は、元警察官で、犯罪抑止・通報ジャーナリストの渡邊一浩氏が、正しい110番通報の仕方を記した本だ。
渡邊氏は、約6年半、交番や駐在所に勤務し、住民に「駐在所だより」を配布するなど独自の広報活動を展開。その結果、数多くの逮捕実績を挙げ、地域の検挙率を飛躍的にアップさせたというスーパーおまわりさんだ。その豊富な経験をもとに、効率的で効果的な通報の仕方を、実際に起こった事例をまじえて丁寧に教えてくれる。
しかし、通報をしても曖昧な情報だけでは捜査は難しい。「要件(何が起きたか)」「いつ」「どこで」「犯人を目撃したかどうか」「犯人の特徴・逃走方向など」「通報者の名前と連絡先」をしっかり告げることがスムーズな捜査につながってくる。そして、110番通報で一番重要なことは「すぐにその場で連絡する」こと。犯人がまだ近くにいる間に捜査できれば、逮捕率はグッと高くなるのだ。
通報の手順の他にも、5章「通報による逮捕事例」、6章「タイプ別通報マニュアル」など、警察の視点から「通報→捜査→逮捕」の流れを描いており、興味深い。
他人の被害を通報しても、直接的なメリットはないように思える。しかし、犯罪が増えれば、自分も被害に遭う可能性が高くなるのは必然だ。通報することは、他人を守り、自分の身を守ることとなる。街の治安は、市民自らの”声”にかかっている。
(文=平野遼)
●わたなべ・かずひろ
1976年生まれ。元警察官(奈良県警)。立命館大学卒。在職中は、主に交番や駐在所のおまわりさんとして勤務し、これまでにない斬新な手法で独自の広報活動を実施。広域重要窃盗団をはじめ、数々の被疑者を逮捕した経験を持つ。その経験を活かして全国の治安を良くするべく、大好きだった警察官をやめ、犯罪抑止・通報ジャーナリストとして、通報・犯罪・防犯などに関するさまざまな情報を発信中。
公式サイト:http://justice-110.com/
公式ブログ:http://ameblo.jp/justice-110/
知っておいて損はない。
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