視聴率が6%に急落『イケメン☆パラダイス』があぶり出す現代の連ドラの問題点
#アイドル #ドラマ #AKB48 #前田敦子
前田敦子主演の『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(フジテレビ系)、瀧本美織主演の『美男(イケメン)ですね』(TBS系)、川口春奈主演の『桜蘭高校ホスト部』(TBS系)と、女優が男装して主人公を演じるイケメンドラマラッシュの夏ドラマ。その中でも注目の『イケパラ』が、7月10日の初回平均視聴率10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)に続き、7月17日放送の第2話は6.0%を記録したことが分かった。
同時間帯に放送されている『華和家の四姉妹』(TBS系)は初回13.5%、第2話は12.5%と、4月クールの同枠『仁-JIN-』(TBS系)には及ばないまでも、初回から1%しか落とさない中、『イケパラ』は急降下した。
「夏クールはイケメンドラマだらけで、各ドラマには事務所別に若手男性イケメン俳優が分散。『イケパラ』の前作はジャニーズから生田斗真が出演していましたが、今回はナシ。ジャニーズは『美男ですね』に、Kis-My-Ft2の玉森裕太、藤ヶ谷太輔、Hey! Say! JUMPの八乙女光を出演させていますからね。また、長身のイケメンが多い研音は、同事務所所属の川口春奈主演『桜蘭高校ホスト部』に竜星涼を出演させていますが、こちらも『イケパラ』の出演はナシ。その他、『イケパラ』は前作で小栗旬が務めた佐野役を中村蒼、水嶋ヒロが務めた難波役は同じく『仮面ライダー』出身の桐山漣ですが、お世辞にも前作より存在感があるとは言えない。前作と今作のキャストはまるで、AKB48で正規メンバーの代役を研究生が務める”アンダー制度”のようです」(テレビ情報誌の記者)
前作は保健医での梅田役が上川隆也だったが、今作は斎藤工。若手イケメンだけでなく、F2層(35-49歳の女性)も見たくなるような知名度のある俳優も一人は必要だったのかもしれない。その他、前作は特別出演ながら、松田聖子、SMAP・稲垣吾郎も出演していたことでも話題を呼んだ。やはり、露骨な予算削減と、わずか4年という短いスパンでのリメイクで、キャストがマイナーなことも理由のようだ。男性キャストの他にも、『イケパラ』が問題を抱えている点は多々あるという。
「何しろ、主演の前田敦子がね……。前田はAKB48の中でも写真チェックが厳しいことで業界では有名。彼女はアングルによっては、あまりアイドル然としない表情になるので、雑誌などで使われている前田の写真は多くのテイクから選び抜かれた”奇跡の1枚”。AKB48の集合写真では後列のメンバーが微妙な顔をしている場合もありますが、それは前田に基準を合わせているから。『Q10』(日本テレビ系)ではロボット役で表情をあまり変えなくて済んだんですが、今回はコメディーなので喜怒哀楽を露骨に表現しなければならない。その顔が、ネット上でダウンタウンの浜田雅功にそっくりだと話題になったり……。また、10日に放送された『情熱大陸』(TBS系)は前田に密着しましたが、『マジすか学園2』(テレビ東京系)のロケ中に『情熱』の取材カメラがいることで演技に集中できず、マネジャーにキレ、以降、取材を拒絶。顔を台本で隠す場面や、一人フテ寝を決め込むなどの自分勝手でわがままな”素の顔”を克明に描写されました。これは、AKB48プロデューサー・秋元康氏が『これが前田の魅力』と、意図してカットせずに放送したもののようですが、やはりアンチが急増。前田に幻想を抱いていたファンは大いにショックを受けたようです」(週刊誌の記者)
主演女優の急速な人気の下降の他、脚本も第1話では前田演じる瑞稀と佐野の過去の関係説明が一切ないまま話が進むなど、消化不良な点が多々あった。第2話では、AKB48サイドとワタナベエンターテインメントの”二重バーター”で出演している柏木由紀が演じる樹理が倒れこむシーンがあったが、次のシーンでは普通に立って拍手を始めるなど整合性の取れない部分も散見された。これらは、脚本家にギャラの安い若手を使い、プロデューサーが指示する内容だけを盛り込んで書かせ、作家性を軽視する昨今のドラマの特徴が露骨に出た例だと言える。
“イケメン”という安直な発想の裏に、事務所政治がちらつくバーターキャスティング、若手の演技力不足、知名度だけある主演女優の起用、脚本のずさんさなど、現代のドラマが抱える問題を露骨にあぶりだした『イケパラ』。次回は何パーセントの視聴率を記録するのか、期待したい。
(文=ドラマ評論家・瀬名完治)
ある意味、あっちゃんも公開処刑?
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