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ニューヨークのフードトラックが 象徴する 飲食業界の未来って?

ニューヨークのフードトラックが 象徴する 飲食業界の未来って?

──激変するITビジネス&カルチャーの深層を抉る!

1108_ITill.jpgキッチンカーのアカウントに「これから
買いに行くから、出来たてよろしく!」
とかリプライしてもいい?

──ソーシャルメディアの台頭が影響を及ぼしているのは、マスコミやコンテンツ産業だけではない。世界の都市では、飲食業界にもその波が波及しているのだ。ニューヨーク名物・ホットドッグ屋台などが、ツイッターを使って売り上げを伸ばしているという。

 リーマンショック後、飲食業界が大変な不景気になってしまったアメリカでは、この間、フードトラックと呼ばれる屋台が急増したという。トラックやバンの荷台部分をキッチンに改造し、その場で作ったピザやホットドッグなどを路上で販売するものだ。日本でも最近、この形式のケバブ屋や弁当屋を都心などで見かけるようになったから、ご存じの方もいるだろう。

 フードトラックが増えた理由のひとつに、立ち上げコストが普通のレストランよりずっと低く済む点がある。不況の時には投資家としては、高い内装費を使ってレストランを立ち上げるよりも、安価にスタートできるフードトラックのほうがとりあえず安心というわけだ。客のほうも安い食事を求めているから、レストランよりもフードトラックに流れやすい。

 フードトラックの原型はニューヨークではストリートヴェンダーと呼ばれている屋台で、街のいたるところに店を出している。ニューヨークだと、ウォールストリートから五番街、アップタウンやイーストヴィレッジまで。その数は1万以上もあるといわれていて、ホットドッグやハンバーガーなどのファストフードから、インド料理など各地のエスニック料理、自然食など、とにかくありとあらゆる種類の料理が実に気軽に楽しめるのだ。年に一度、ヴェンディアワードという屋台のコンテストまで開かれているほどである。

 フードトラックは、このストリートヴェンダーをさらに簡素にして移動可能にしたものだ。新規参入組が多いこともあって、古くからの屋台よりもずっと料理の幅が広く、例えば「オーガニックな食材だけを使ったハンバーガー」とか「フレンチのカフェが出しているお洒落な料理」とか、レストラン並みの味を誇る店も少なくない。

屋台の「匿名性」問題を取り払うために必要なこと

 とはいえ、今までは新しいフードトラックをスタートさせても、どうプロモーションするのかという悩みがあった。しょせんは街中を走る単なるトラックである。店の前に恒常的な看板を立てるわけにはいかない。あるいは開店を知らせるチラシをまいたり、ポスターを街中に貼り出しても、フードトラック自体が日によって場所を移動してしまうので、客に見つけてもらえないという重大な問題が生じてしまう。

 しかしソーシャルメディアの登場が、この難問をあっさり解決してしまった。ソーシャルメディアを経由してフードトラックと顧客をうまく接続させる結束点が生まれ、持続的な関係性に転換させることに成功したのだ。
 このあたりのフードトラックの話は私の近著『キュレーションの時代』(ちくま新書)でも書いたのだが、アメリカの人気ブログ「マッシャブル」が6月中旬に『ソーシャルメディアは、どのようにしてフードトラック現象を加速させたか』という興味深い記事を掲載していたので少し紹介してみよう。

最終更新:2011/07/22 10:30
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