【総選挙3位】大躍進!柏木由紀 アイドルにこだわる使命感、謙虚な彼女がキャプテンの理由
#アイドル #AKB48
AKB48評伝本『泣けるAKB48 メンバーヒストリー 少女たちの汗と涙の軌跡』発売を記念して、その一部を抜粋して紹介する。今回は、第3回選抜総選挙で3位になり、いちばんのサプライズを起こしたといっていい柏木由紀。AKB48の”握手会クイーン”として知られ、昨年8位から大躍進を遂げた彼女の知られざる素顔に迫る。
『ひるおび!』(TBS系)のお天気お姉さんの清楚さと、リアクションの大きさが醸し出す親しみやすさが融合した柏木由紀。天性の素質と不断の努力で、現在の地位を確立した彼女の軌跡をたどる。
鹿児島に生まれた柏木由紀は、幼い頃、目が悪く、度のきついメガネをかけていたことから”メガネザル”と呼ばれていた。『じゃんけん選抜公式ガイドブック』によると、小学校入学時には左目の視力が0.01だったが、「悪い目を使いなさい」という医師の指示に従った結果、奇跡的に1.5まで回復したという。その当時からアイドルにハマり、モーニング娘。の石川梨華のファンになる。中学校では吹奏楽部でトロンボーンを担当する中、2005年に『AKB48 オープニングメンバーオーディション』に応募。だが、この時は上京できずに断念。二期生オーディションも、母からダメ出しされてしまう。
だが06年には、『モーニング娘。Happy8期オーディション』に参加。三次選考進出者の25名まで残り、つんく♂に「この透明感……全くディレクション(指導)とかレッスンを受けずにこんだけ歌えるのはすごい」とまで絶賛されるが、あえなく落選。そこでめげずに彼女は、AKB48の『第三期AKB48 追加メンバーオーディション』に参加し、ついに合格を果たしたのだった。
12月9日にチームB候補生としてお披露目され、柏木は、候補生の中から唯一、docomoの携帯電話を利用したテレビ電話で、母親に合格を報告するというサプライズを受けた。鹿児島という、九州でも南端の土地から、アイドルになるという夢をかなえるために上京してきた柏木。母は柏木と共に上京し、父だけが郷里に残ることになる。単に家族が離れ離れになるだけでなく、経済的にも負担をかけることになるだけに、そこに人生を分けるほどの逡巡があったことは想像に難くない。そんな並々ならぬ覚悟を抱いて、AKB48に加入した彼女に、最初の試練が訪れる。07年3月、チームBとしてステージに立つ前に、AKB48によるツアー『春のちょっとだけ全国ツアー』の中で、17日(愛知厚生年金会館)、18日(福岡国際会議場メインホール)のライブに急きょ、出演することになったのだ。それは、映画『伝染歌』の撮影で休演することになった大島優子のポジションでの出演だった。当時を柏木は次のように振り返る。
「明日からレッスンなのでこれ全部覚えてきてくださいってDVD渡されて、見てみたら15曲もある!! 優子ちゃんの位置だから目立つし、どうしよう!? って!! レッスンの期間でなんとか覚えたんですけど。ほんとツラかったし、初日の本番前とかメチャクチャ緊張したんですよ。たぶん人生で一番の緊張」(『週刊ヤングジャンプ』)
スタッフからの突然の発注に応じ、見事自ら与えられた役割を果たした柏木。緊張した初ステージとなったものの、ファンから声援を送られ、幼い頃から憧れていたアイドルになることができたことを実感し、楽しんで公演を終えられたという。
■チームB公演開幕 ”現場人気最強”への軌跡
4月8日、チームBのメンバーとして劇場公演デビュー。チームK2nd『青春ガールズ』を引き継いで行い、柏木はユニットでは「禁じられた2人」を担当。チームKでは大島、河西智美の組み合わせだったこの曲を、柏木は仲谷明香とデュエットした。続いて10月からは、チームA2nd『会いたかった』を行い、柏木はユニットでは「涙の湘南」「恋のPLAN」に参加した。この頃、柏木は私服で黒い服を着ることが多かったことから、菊池彩香(当時)から”ブラック”と呼ばれるようになる。さらに、当時は「夢見る女子♪ 今日もあなたにキュン、キュン、キュン」という乙女チックなキャッチフレーズを持ちながら、ボソっという一言がメンバーから「腹黒い」と言われ、ブラックキャラが定着してしまい、本人も動揺してしまう。
お披露目の際にはチームBから唯一、テレビ電話で母に合格発表をした彼女だったが、その後も試練は続く。シングル「BINGO!」の選抜にこそ起用されたものの、以降、同じチームBの渡辺麻友が「僕の太陽」「夕陽を見ているか?」に起用されたのに対し、柏木は外され、また「ロマンス、イラネ」でも、チームBから起用されたのは渡辺と菊地だった。
当初は”推され”だったにもかかわらず、選抜に入れない現実……。柏木は、アイドルが好きだっただけに、ダンスには定評があり、歌もつんく♂が絶賛したように、透明感のある声を持っている。公演も全力で挑み、MCでは「ブラック」と言われても、それをネタに変えてがんばっているのに……。おそらく、ここで彼女は「自分になにができるのか」を考えたはずだ。そして、彼女が特に注力したのが、ファンとの交流の場である「握手会」だった。長年のアイドルファンである経験から、ファンが何を求めているかがわかる彼女は、ファンの顔、名前を熱心に覚え、ホスピタリティ(もてなしの心)あふれる言葉で感謝を伝え、ファンが求めるアイドル像を自ら体現させていったのだ。すると、彼女の個別握手会の列は自然と伸び、いつしか、彼女は”現場人気最強”と呼ばれるようになる。AKB48では、個別握手会にできる列も人気の指標のひとつとして運営サイドが計算しており、ついに「桜の花びらたち2008」で選抜に復帰。以降、選抜常連メンバーとなっていく。
そして、08年3月1日、チームB初のオリジナル公演となる『パジャマドライブ』が始まる。これまでは先輩チームの事実上の”おさがり”の公演を行っていたチームBだが、自分たちのためだけに書かれたセットリストをもらい、さらに団結を深めていく。柏木は、ユニット曲で「てもでもの涙」を担当。佐伯美香とのデュエットで、往年のWinkを彷彿させる切ない表情のパフォーマンスが話題を呼んだ。柏木の独唱から始まる「Two years later」、10代特有の虚無感を歌った「命の使い道」など名曲ぞろいのこの公演でさらに表現力を磨いたのだった。
(文=本城零次)
その後の、浦野一美から送られた手紙、『AKB48歌劇団』で紡いだ宮澤佐江との絆、佐藤亜美菜が評した柏木の真のキャプテン像にスポットを当てる――。続きは現在発売中のAKB48評伝本『泣けるAKB48 メンバーヒストリー 少女たちの汗と涙の軌跡』(サイゾー)に掲載。
■『泣けるAKB48メンバーヒストリー 少女たちの汗と涙の軌跡』
劇場公演を900回以上(『AKB48 LIVE!! ON DEMAND』含む)見続けている”AKB48評論家”が紡ぎだすAKB48「圧倒的成功」の真相。本書の詳細はこちら。
https://www.cyzo.com/2011/06/post_7538.html
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