トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 社会  > 「地震兵器、世界企業の陰謀……」震災で”トンデモ/デマ”に救いを求める人々

「地震兵器、世界企業の陰謀……」震災で”トンデモ/デマ”に救いを求める人々

kajikawayukari.jpg梶川ゆきこ公式サイトより

 現在、Twitterを中心に話題を集めている人物がいる。前広島県議会議員・梶川ゆきこ氏(統一地方選挙で落選)だ。

『今、日本は戦時下の非常事態にあることを認識すべき。自然界ではありえない地震だということは、「人工地震」でネット検索をかければ、実証データがでてきます。なぜか、ここにリンクで貼れないので、自分で確かめて下さい。日本のマスコミが報道することだけを信じるな!が、私のつぶやきの意図です』

 この発言からも分かるように、梶川氏にとって先の東日本大震災はある種の陰謀であるとしているのだ。ほかにも彼女のTwitterでのつぶやきを一部抜粋すると……


『阪神大震災は人工地震:「闇の支配者に握り潰された 世界を救う技術」ベンジャミン・フルフォード・著(講談社)より。地震兵器は新潟県中越沖地震、ミャンマー・サイクロンでもつかわれた。中国の四川省の大地震は、軍事施設の破壊が目的だった。』

『地震兵器HAARP http://r10.to/hBAkVb #r_blog [ 真実の暴露 ] ベンジャミン・フルフォード氏が英語で語っている内容が日本語に翻訳されたサイト。そろそろ、賢い日本国民、眼を開かなくては。こんな不自然な地震が自然界にあるのか?』

『私がカルトに洗脳されたんじゃないかと…心配されているみたいですが、そんなことありません。(^_^) 世の中には、物事の見方はいろいろあります。日本のように情報統制された社会で洗脳されている方が怖いです。アニメとかオタク文化とか地方あるいは傍流のアイディアにも私は耳を傾けます。』

 どれも議員職にあった人間の発言としては目を疑うものばかりだ。だが、彼女自身は「ネットには、マスコミが伝えない情報もあります。情報をどう、読み解くかは、個々人の判断。」としている。その中で、人工地震を引き起こすとして梶川氏が紹介している地震兵器だが、実際にどのようなものなのであろうか。

 まず、各種サイトのソースとされる「フォーブス」元アジア太平洋支局長のベンジャミン・フルフォード氏の主張だが、地震兵器は「HAARP」と呼ばれる。

 この地震兵器についてはネット上でさまざまな意見が挙がってはいるが、現在、もっともらしく言われているものとしては「強い周波数を放射する兵器」だ。強力な電磁波は地殻や地下水に影響を与え振動や地割れを引き起こすという。

 フルフォード氏によれば、これまでに世界の巨大地震でこの兵器が用いられた例として四川大地震、スマトラ沖地震、ハイチ地震などがあるという。また、日本国内でも阪神淡路大震災、新潟県中越沖地震もこの地震兵器HAARPによるものだという。この他にもHAARPは万能な攻撃力を持ち電磁波で電離層をかき回して大気を不安定にさせる気象兵器としての機能も有しており、2005年にアメリカに甚大な被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」がその例だという。

 しかも、フルフォード氏の著作『図解 世界「闇の支配者」』(扶桑社)では、氏のジャーナリズム活動で闇の支配者が日本の金融業界に圧力をかけたことを暴露したことについて公安警察から「地震が起きるからそんなことを書くな」と警告されたことにも言及し、結果として直後に新潟県中越沖地震が発生したとしている。

 ここまで紹介してきた「HAARP」の脅威だが、これはある巨大企業が深く関係している。それが年間売上4兆円を超す多国籍企業・ベクテル社だ。

 ベクテル社は1898年の創業以来、世界中のインフラ建設を請け負っている。日本も例外ではなく関西では空港事業や都市計画に深く絡んでいる。それどころか、ベクテル社は青森県六ヶ所村の再処理工場建設にも参入している。

 このようなことから、ベクテル社が巨大災害後の復興利権を勝ち取るためにHAARPを用いて巨大地震を起こしているとの説も巻き起こってしまう。

 冒頭で紹介した梶川前議員が、興味本位か本気なのか真意の程は定かではない。仮に自分が信じていたとしても、世間が「陰謀」だと思うことは「デマ」と同じと受け取る人もいる。

 東日本大震災の発生直後からネット(主にTwitter)のデマ情報に警告を発してきた評論家の荻上チキ氏などは、荻上式BLOGの中で「こうした、国をあげての騒動になるようなケースの場合、誤った陰謀論なども多く出回ります。(中略)政府や関連機関が情報を隠している可能性を検討するのは国民・市民として重要ですが、その懐疑を補強してくれるような『怪しい情報』に対しても無防備であってはならないので、常に『確かな一次ソース』の有無の確認などが重要である旨、繰り返しておきます。」と述べている。

 現象と現象の間に不確定な要素があるとき説明するために「陰謀」と呼ばれる言葉が使われることがある。これは、理解できない、認められないことを納得するための手段にするためだ。今回の場合は、甚大な被害と巨大地震。それが地震兵器によって引き起こされたと説明することで、まったく非のない人々が被害を受けたことを納得するための要素として用いられている。しかも、被害を受けた人ではなく、それを冷静かつ客観的に見る余裕のある人たちが騒いでいるに過ぎない。実際、今回の大震災に巻き込まれた東日本の人間のみならず日本全体が、世界規模の陰謀とでも考えないと納得できない国民感情が少なからずあることだろう。

 だが、地震の原因を誰かの「陰謀」だと決めつけても我々が直面している現実から逃れられないことを忘れてはならない。
(取材・文=丸山ゴンザレス/http://ameblo.jp/maruyamagonzaresu/

流言とデマの社会学

そこに救いがあるのなら。

amazon_associate_logo.jpg

最終更新:2013/09/13 17:33
ページ上部へ戻る

配給映画