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野宿界のカリスマ『野宿野郎』編集長が語る”楽しい”野宿のディープな世界

nojyuku01.jpg「野宿野郎」編集長・かとうちあき氏(左)と、放浪書房店主・富永浩道氏(右)。

 一部の人たちの間で爆発的な人気を誇る、「野宿野郎」というミニコミ誌をご存知だろうか。「野宿100人アンケート」、「野宿学会」、「誕生日野宿」、「妄想野宿」などマニアック極まる内容で、2004年から不定期で発行、現在7号まで制作されている。今回、編集長のかとうちあき氏が、初の著書『野宿入門』(草思社)を出版。それを記念して、全国を旅しながら本を売る『放浪書房』店主・富永浩道氏と西荻窪にある旅の本専門店「旅の本屋のまど」にてトークイベントを行った。

 野宿歴10年以上、マットと寝袋さえあればどこでも野宿するというかとう氏はもちろん、富永氏も趣味や仕事で旅に出たときには野宿をしているという、野宿マニア。また、かとう氏とも何度か一緒に野宿した経験を持つ。そんなふたりが、「野宿のススメ」をテーマに互いの野宿体験談を熱弁。そして話題は、”野宿にふさわしい場所はどこか”という話に。富永氏は安全な図書館や市役所の駐車場を勧めたが、かとう氏がこよなく愛する場所は、なんと “トイレ”だと言う。

かとう氏「下痢になった時とか、トイレで寝てるとすぐに行けるじゃない? それ、大事なんですよ。それにトイレの便座って、パタンって下ろすと机にもなるし、座ればイス。手すりに洗濯物干せるしね。なんかホテルみたいな感じなんです」

 「キレイでしょう?」と、うれしそうにかとう氏が指差したスクリーンの写真には、床に保温用の銀マットが敷かれ、手すりにはタオルが干され、すっかりホテル(?)使用になった、通常の個室よりはちょっと広めでこぎれいなトイレが……。

 独特の淡々とした口調で野宿を語るかとう氏だが、そのとんでもない内容にはおそらく会場の誰も賛同できないまま、話は次々と進んでいく。そして、かとう氏を頼り、「野宿がしたい」と、誕生日に福岡から東京へやってきた謎の女性と富永氏の3人で、原宿で野宿をした思い出話に花が咲く。

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富永氏「原宿のGAPの向かいにある某銀行前で、コンロで水を温めてカップラーメン食べたよね。これはいけないよ、みなさん。ダメです。やっちゃいけない(笑)」

かとう氏「おいしかったよね、カップラーメン。このとき、ここで富永さんと本売ったけど、ぜんぜん売れなかったね。誰も近寄ってこなかった」

富永氏「本の下に敷くものを忘れて、ダンボールだったしね。それがまた、本当に貧乏臭くてね。普段はお店出すと誰かしら近寄ってくるんだけど、あのときは僕たちの周りを見事に人が避けて、迂回路みたいに人の波がカーブしてびっくりした。何この人たちって、みんなすごい目で見てたね」

 その後、3人は代々木公園に移動し、女性のささやかな誕生日パーティーを行い、1月の極寒の中、野宿を決行する。しかし、明け方に目覚めた女性は、「寒かった」と一言つぶやき、それ以来、連絡が途絶えてしまったという。

 そのほかにも、「靖国神社の鳥居とか何かの象徴っぽいところに寝ると、速攻で白い学ランみたいなの着た人が来る」(かとう氏)、「野宿をしていると、ホームレスの方に”ストリートの仲間”みたいな意識を持ってもらえる」(富永氏)など、話はどんどんとディープな世界へ。  

そんなふたりにとって、野宿とは一体なんなのだろうか。

富永氏「初めて野宿をしたときに、自分が持っている荷物だけで人間って生きられるんだなぁと思って。こうやって朝は迎えられると思うと、すごく気持ちが軽くなったよね」

かとう氏「いいこと言った! その通りだと思う。わたしにとって、野宿は……よく分からない。なんか楽しいな~とは思うんですけど、大変なこともあるし、怖いなぁと思うこともある。プラスマイナスで考えると、そんなにプラスでもないはずなんだけど、なんか面白い」

 この日、会場に訪れたお客さんは、意外にもスーツ姿のサラリーマンや若い女性、年配の女性など、パッと見はかなりキッチリしていそうな人ばかりだった。富永氏が60代前後の淑女に参加理由を尋ねてみると、「わたしがね、想像もつかない行動をしている人の話ってどんなかな、と思って……」と、見事に客の気持ちを代弁、会場全員がうなずいた。人間は本能として、”野宿”というキーワードに、どこか妙に惹きつけられ、体験してみたい、という思いを秘めているのかもしれない。
(取材・文=上浦未来)

※取材協力=旅の本屋のまど <http://www.nomad-books.co.jp/

野宿入門

たまにはどうよ?

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最終更新:2010/11/12 19:24
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