退会者続出でケータイの音楽配信に暗雲!? 関係者が語るモバイル業界の前途
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西野カナやflumpoolなど、ケータイでの音楽配信を重視したプロモーションを行うアーティストが登場し、ヒットを連発している最近の音楽業界。こうして順調に業績を伸ばし、音楽の一時代を築くかに思われた音楽配信ビジネスに、暗雲が立ち込めている。
日本レコード協会が2月末に発表した09年度の音楽配信・年間販売数量は、前年比2%減と、初めて前年割れを記録。05年の統計開始以来、同業界は毎年2ケタもの増益をキープし続け、急激な成長を遂げてきただけに、関係者は不安の色を隠せない。
「最近では、インターネット上の動画サイトで音楽を聴くことができ、またケータイサイトが閲覧できないiPhoneなどのスマートフォンが台頭。ケータイの出荷台数自体も減少傾向にあり、ケータイ系の音楽配信サービスの会員数は、軒並み減少傾向にあります。関係者は会員の確保に必死ですが、退会者が後を絶たないのが現状です」(IT企業関係者)
これまでの音楽配信は、ケータイが9割、パソコンが1割と圧倒的な独り勝ち状態だったが、前述の協会の調べによると、09年の音楽配信はパソコン配信が13%増なのに対し、携帯は1%減となっている。
この結果は、パソコンとほぼ同機能を備えたスマートフォンが着実に市場規模を増やしつつあることで、これまで主流だったケータイでの音楽配信に対して、以前ほどのユーザビリティを感じない利用者が増えていることを示している。
「ケータイでダウンロードした曲が、そのケータイでしか聴けないのに対し、パソコンでダウンロードした曲は汎用性が高い。ケータイIT業界は今後、スマートフォンも視野に入れたパソコンサービスや、動画配信などにも力を入れて、危機を乗り越えようと必死です」(前出の関係者)
09年の音楽全体の市場規模は約4,075憶円と、前年比10%減。ケータイ音楽配信の減少は、端末人気の低迷だけではなく、音楽産業全体のマーケットが縮小傾向にあるということも要因にはなっている。しかしケータイIT業界の関係者は、”その中でも、モバイルに特化した音楽配信の未来は暗い”と口を揃える。
「現に、各社でケータイ配信の実務に当たっていのは、いつでも首を切れる派遣社員がほとんどです。どの企業も、3年後、5年後の未来さえ予測できないことに、危険を感じているのでしょう」(前出の関係者)
そのほとんどがベンチャーからスタートしている、ケータイ系IT企業。すでに手を引く準備に入っているのか、あるいはケータイ音楽配信の新たな形を作り上げようと、ベンチャースピリットを燃やしているのか。テレビや雑誌などに広告を打ち、存在感を示している企業も多いが、今がまさに正念場だと言えそうだ。
(文=北川忍)
ケータイ発のラブソング・コンピだそうです。
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