円谷プロ的!? 超カオスなのになぜかポップなKIRIHITOを聴け!
#音楽 #サブカルチャー
ギターを持ってふらふら揺れつつ、足でカシオ・トーンを弾く脱力系のボーカルと、立ったままドラムを叩くコワモテのあんちゃん。日本を代表するパンク・デュオKIRIHITOは、ステージ上では正直ちょっと”異様な人たち”だ。竹久圏(Guitar,Vocal,etc)と早川俊介(Drums,etc)の2人によって1994年に結成され、ルー・リード&ジョン・ケイルによる『Songs for Drella』というド渋いアルバムを心の支えに、2人だけで15年走り続けてきた。
その音楽は、「ロックンロールの神様=チャック・ベリーの脳ミソが爆発して、ブラックホールの果てまでぶっ飛んでいった」とでも言いたくなるような、土臭く、それでいて『2001年宇宙の旅』のような壮大な近未来を想い起こさせる。
「いやあ、僕らのやっていることはそんなスケールの大きなものじゃなくて、円谷プロみたいなもんですよ(笑)」(早川)
あら、ステージ上ではコワモテの早川さん、実はニコニコ気さくでいらっしゃる。ライブ時の”ヤバい人”感を感じさせない2人は、何度か競演もしてきたZAZEN BOYSをはじめ、さまざまなミュージシャンからリスペクトを受ける”ミュージシャンズミュージシャン”ともいうべき存在だ。そんな彼らが、この6月、実に9年ぶりのアルバムを発表する。
「9年の間にライブをやっていく中で、新曲も作ってたんですよ。曲ができて壊れて、できて壊れての繰り返しで。それがようやく実を結んだ感じですね」(竹久)
「このアルバムに入っている『On-do』って曲ができたとき、新しいことができるかも、と感じました。すごくうまいロックをやるんじゃなくて、もっとオリジナルなノリでダンスできればな、と」(早川)
待望のアルバムには、大友良英ら、アンダーグラウンドミュージック界の大物たちも、アツいコメントを寄せている。机上で生まれる初音ミクの音に疑問符を抱いたら、KIRIHITOのカオスで「ナマ」の良さを再発見!
(文=胡桃川育夫/「サイゾー」6月号)
●きりひと
左/竹久圏(Guitar,Vocal,etc)、右/早川俊介(Drums,etc)。
94年結成、95年アルバム『DA.VI.DE.BO』でデビュー。これまでに3枚のアルバムを発表し、3度のアメリカツアーを行う。
Question [Enhanced]
9年の時を経て生まれた、今までになくポップでキャッチーな1枚。日本語詞が多用され、早川がボーカルを担当した曲があったりと、バラエティに富み、これまで彼らの曲を聴いたことがなくても聴きやすい! 発売/P-Vine Records 価格/2730円(税込)
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