おバカに天然ボケ 女子アナのタレント化に見る局の戦略とは?
#テレビ #女子アナ
昨今ますます熱を帯びている女子アナブーム。週刊誌では連日女子アナの恋愛報道やパンチラ写真が掲載され、テレビでは自分の番組を持つ若手女子アナも増えてきている。
こうした女子アナのタレント化を、マスコミ論の専門家はどう見ているのだろうか? 多くの女子アナを輩出したマスコミ講座を主宰する、法政大学の稲増龍夫教授に聞いた。
(以下、稲増氏・談)
女子アナブームと言われていますが、就職活動中の学生の間では、すでにブームは終わっています。事実、私が主宰している法政大学の「自主マスコミ講座」でも、アナウンサー講座を志望する学生は減っており、定員30名のところ、昔だったら100人以上の申し込みがあったのに、今は50人前後しか集まらない。
その理由として第一に考えられるのは、テレビ局の採用人数の激減。私が「自主マスコミ講座」を開講した頃はバブル期だったんですが、地方局の採用数も含めると、今は当時の3割ほどに減ってしまいました。それに伴い、地方局の女子アナはほとんどが契約社員採用。現実的に見て、女子アナという職業自体、学生にとって実現可能な選択肢ではなくなってきているんです。加えて、運良くキー局の女子アナになれたとしても、今度はスキャンダル報道にさらされる可能性がある。いろいろな意味でリスクが高くなり、もはや安易に女子アナを目指せなくなったのでしょう。
また、キー局の女子アナ採用試験がタレントオーディションと化していることも影響しているようです。ただ、採用試験で実施される内容は昔と大差ありませんよ。大きく変わったのは評価の基準で、ルックスに対する比重が非常に大きくなったんです。そのため、ミスキャンパス受賞者やタレント活動をしている人が好まれるようになり、普通のコが採用されづらくなった。20年前はテレビに出ていることがマイナスだったんですけどねぇ。あの当時はタレント活動をしていても、それを隠して採用試験に臨んでいたくらい。テレビ局は自分たちのカラーで育てたいから、最初から色がついているような学生は嫌っていたんです。
ただ、女子アナの縁故入社や「有望な学生を青田買いしているのでは?」といった噂が多く出ますが、実際はそこまで多くないと思いますよ。この仕事をやっていると、本試験が始まる前に「○○大学の××ちゃんが内定した」っていう情報が流れてくるんですが、本当だったためしがありません(笑)。
新人アナの売り出し方はモーニング娘。と一緒
一方、女子アナのタレント化を憂う声もありますが、テレビ局としては当然の戦略。テレビ離れが進んでいる現在、女子アナを自局にしか出演しないタレントと考えると、ほかの芸能人と差別化できるし、貴重な戦力になる。女子アナ人気が爆発して視聴率が取れるようになったら、それこそ願ったりかなったりですよね。昨今、新人アナが早くから番組を持つようになりましたが、あれはモーニング娘。やおニャン子クラブと同じ売り出し方。成長過程をドキュメンタリーとして放送することによって、視聴者に親近感を覚えさせるんです。また、彼女たちにとっても、出演することで多くのことが学べます。まぁ、技術的に完成されていない女子アナをテレビに出すのは、深夜枠があるから可能なのかとも思いますけど(笑)。
もちろん、しっかりした技術に裏打ちされた上で、人気を博している女子アナもいますよ。中でも、フジの高島彩アナは別格。「自主マスコミ講座」OBの小島奈津子(元フジ)は聞き上手で人の良さを引き出す力に長けていましたが、高島アナは番組の調整能力、展開力が素晴らしい。あと彼女は、スキャンダルを巧みに利用しているという印象がありますね。常識の範囲内であれば、スキャンダルも話題性につながるし、嫌悪感を抱かれません。
よく女子アナは公人か私人かという議論が交わされますが、私の考えでは、番組に出ている以上は公人です。ただ、自由恋愛に関しては放っておいてあげたい部分もありますよね。彼女たちが普通の若い女性であることはみんな知っていますし、ただ報道価値があるというだけでおもしろおかしく記事にするというのは、有名税にしてもかわいそうな気がします。
ここ数年、女子アナ本人もさることながら、彼女たちを取り巻く環境が激変しています。それによるメリットもあれば、デメリットもありますが、女子アナという仕事は若い女性が先頭に立って活躍できる希有な職場。銀行や商社に優秀な成績で入ったって、女性が20代で活躍できるなんてことはほとんどありません。世の中に男女差別があるとすれば、彼女たちはそれを逆手に取っているんです。実にたくましいことじゃないですか(笑)。(談)
(高篠友一・構成/「サイゾー」6月号より)
稲増龍夫(いなます・たつお)
1952年4月9日生まれ、東京都出身。法政大学社会学部教授。主宰する「自主マスコミ講座」からは、小島奈津子(元フジ)、堀井美香(TBS)、龍円愛梨(テレ朝)など、キー局・地方局に多数の女子アナを輩出。
【関連記事】 古瀬絵理が語るスイカップ騒動と女子アナブーム
【関連記事】 本性むき出し! TBS女子アナの陰湿小林麻耶イジメ
【関連記事】 熾烈な女子アナ戦線! 日テレがフジを抜いてトップに出る !?
【関連記事】 『恋から』出身アナの輝かしいチャイドル時代
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事