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女性初大統領vs黒人初大統領 性・人種差のもたらす影響(前編)

コメディアンのマイケルリチャーズによる黒人差別発言。後に謝罪している

 稀にみる接戦を繰り広げている民主党候補レースは、去る3日の「ミニチューズデー」ではテキサス、オハイオ、バーモント、ロードアイランド4州で予備選が行なわれた(テキサスでは予備選に加え党員集会も行なわれた)。クリントン氏は、バーモント州では敗北したものの、ロード・アイランドと、オハイオで勝利。テキサスも“歴史的接戦”の末、同氏が勝ち抜けた。

 そして迎えた8日(現地時間)のワイオミング州の党集会では、38%の得票数のクリントン氏を制してオバマ氏が61%で勝利。代議員数はこれでオバマ氏1527票、クリントン氏1428票となり、3月11日のミシシッピ州(代議員数40)に戦いの場を移す事になったが、黒人の多い州なのでオバマ氏に票が集まると予想される。

 こうなると代議員数で1歩リードしているオバマ氏が民主党の大統領候補となり、初の黒人大統領となるシナリオも夢物語ではなくなってくる。これからは白人女性大統領と黒人男性大統領誕生に関するトピックもますます熱を帯びてくるだろうが、女性差別や黒人差別がまだ根強く残るアメリカで、果たして彼・彼女を大統領として受け入れることはできるのだろうか?

 ここに興味深い記事がある。1月21日付CNNオンライン版の調査「アメリカは黒人大統領を受け入れる準備があるのか?」には、白人の72%と黒人の61%がイエスと答え、アメリカ人は今までになく、黒人大統領を受け入れる準備が整っていると伝えているのだ。この数値は2年前より高く(白人65%、黒人54%)、また女性の大統領誕生に関してイエスと答えた白人64%、黒人65%より高い(743人の白人、513人の黒人を含む1393人のアメリカ人への電話調査)。つまりここでは、アメリカ人は女性大統領より黒人大統領誕生への期待感の方が強いという結果が出たのだ。

 一方、これと相反する資料もある。日本時間5日夜のCNNの「アメリカン・モーニング」は、テキサス州での予備選の出口調査によると、白人男性の50%がクリントン氏、47%がオバマ氏には投票したという事がわかった。白人女性はクリントン氏61%、オバマ氏39%でクリントン氏が圧倒、反対に黒人層はクリントン氏16%に対してオバマ氏83%と、ダントツにオバマ氏が強い。テキサス州の有権者の34%を占めるラテン層は、クリントン氏67%、オバマ氏31%でやはりクリントン氏の強さが目立つ。オバマ氏の支持層である黒人層、ヒラリー氏のラテン層と女性層が相殺されて、決定権を握ったのが白人男性票であると、政治記者は分析していた。保守的とされる白人男性の動向が、ミシシッピ州でも勝利の鍵を握るのだろうか。

 ここまでの予備選では、2人の候補者の支持層ははっきりしている。黒人層に加えて富裕層と若年層に人気のオバマ氏に対し、女性層、組合などの組織票と中産階級から貧困層、そしてヒスパニック層に強いクリントン氏という構図だ。黒人の多い州でオバマ氏が勝ってきたというのはわかりやすいが、ニューイングランドの1つで、イギリス系やフランス系の白人が多いバーモント州をオバマ氏が取るなど、ここは人種差が投票に影響しなかった展開。黒人差別が強かったミシシッピ州でも、オバマ氏を支持する白人層が増えているという。もう性差、人種差は関係ない、という政治記者もいる。アメリカの黒人差別はもう過去のものと考えてもいいのだろうか。いや、どうやらそう簡単にはいかないようだ。
(セリー真坂/後編へ続く

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最終更新:2008/03/10 17:23
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